8月29日夜に出発して、30日は早朝から5時まで陸前高田に滞在しました。
陸前高田のボランティアセンターから作業現場に向かった時に黒くピカピカ光っていた長靴は、細かな砂や埃によって、午後には真っ白になっていました。
瓦礫分別の作業を終えて、夜は鳴子温泉に泊まり、翌朝8時には、石巻に向かってバスは出発しました。
旅の最終日31日は、朝10時に石巻駅前に着き、石巻在住のボランティアガイドさんがバスに乗り込みました。
このガイドさんは、石巻で生まれ育った、60代の男性で、駅前で仕事中に被災されたとのこと。今はバスやタクシーが乗り入れる駅前のロータリー。海岸からかなりの距離にある駅前も3日間水に浸かり、ガイドさん自身、建物の中で3日間を過ごしたそうです。
このガイドさんの説明を聴きながら、特に被害の大きかった地域をバスで巡り、漁港の様子、地盤沈下や火災による被害の甚大さを目の当たりにしました。
陸前高田の町全体が5階建のビルの屋上に到達するほどの水位によってすべてが飲みこまれ、流されたように、石巻も広範囲にわたって、その爪痕が今もいたるところにみられました。
地盤沈下や瓦礫の処理への対応は、これから何年も、何十年もかかります。しかも火災の被害も大きく、被災地に住む人々、この災害を実際に体験して今生きている方々の心の傷の深さは、経験していない者からは推し量ることは到底できないほどのものだと感じさせられます。
「歌を届けたい」「音楽を通して心を通わせたい」などという思いで被災地でのコンサートを目標に掲げていましたが、
被害の様子を目の当たりにして、それはもしかしたら的外れで不遜な考えだったのでは・・・と不安がよぎりました。
被災した方の生の声を聞くうちに、10月14日に予定されている石巻大橋団地集会所でのコンサートが、身の程知らずの、失礼な計画のように思えてきてしまったのです。
そんな想いに心が暗く覆われていたとき、バスは、もっとも被害の大きかった場所の広場に止まりました。
バスを停めて外に出て、周囲の状況を見まわしながらガイドさんの話に耳を傾けていた時、、バスの向こう側に一台の車が止まりました。
なんと、石巻に住む、幼馴染の同級生、ちえちゃんが、会いに来てくれたのです。
「今回は団体行動だから、石巻では自由行動にならないだろうし、どいいう経路で市内を回るかわからないから、きっと会えないとおもうよ。」
そんな風に予め伝えていたので、まさか、目の前にちえちゃんが立っているとは、信じられませんでした。
中学時代と変わらない笑顔でたたずんでいるちえちゃんの顔を見た瞬間、涙があふれてくるのでした。
涙は、どんな時も堰を切ったように流れてきます。
嬉しいとか悲しいとか、そういう言葉では到底言い表すことができない、哀しみと温もりとが涙となって、あとからあとから溢れます。
ちえちゃんは、きっと行くであろう場所を何度も車で行き来して、私に会うためにふたたびこの場所に来てくれたとのことでした。
彼女が元気に笑ってくれたことが心から嬉しく、思わず抱きしめて再会を喜び合いました。
3分だけのでしたが、彼女のまごころに、心から感謝したひとときでした。今も彼女の笑顔が目に浮かびます。
もう一人の石巻の親友、たまちゃんも、この日にあわせて有給を取って会いにきてくれようとしていました。しかし、私の訪問が急だったこともあり、それが叶わず、それでも、いつも気にかけてこまめな連絡をくれていました。
この2人の友が、奔走して手配してくれたからこそ、☆アルビレオ☆は、10月14日に石巻の大橋団地集会所でコンサートができる運びとなったのです。
友たちの真心に接して、あらためて思いました。
身の丈以上のことを考えず、ありのままの素直な気持ちでコンサートに臨もう。
共に歩む気持ちで一緒に歌おう。
聴いていただけることを心から感謝して演奏しよう。
そんな風に、気負いを捨てることができました。
☆アルビレオ☆のオリジナル曲には「たいせつなもの」という曲があります。
「大切なものには 形はないけど
大切なものには ぬくもりがある
大切なものには 形はないけど
大切なものには 輝きがある」
この2人の友のために、大切なものを 大切にしていきたい。
新しい目標をいただいた、8月31日。石巻でのひとときでした。
たまちゃん、ちえちゃん、ありがとう☆(*^_^*)☆