NPO住み良いまちづくり研究所 浜崎慶子
10月27日(土)の鳥と楽しむまち我孫子絵画コンテストの終了後、引き続き「ウミネコのレストランはどこだ? 〜人間生活に密接して繁殖する海鳥〜」というタイトルの講演がありました。
(公財)山階鳥類研究所 保全研究室研究員の富田直樹様がご自分のパソコンを持ち込まれて大奮闘!
感想ですが、先ず講演のタイトル「ウミネコのレストランはどこだ?」の件です。講演を拝聴するまでは、「何のことだろう」と不思議に思っていたのですが、終了後は「ああ〜そう言うことなんだ」と思うのと同時に、とても適切なタイトルが付けられたと感心しました。
第二にウミネコの可愛らしい顔をピックアップしユーモアにあふれるコメントを富田様ご自身が書かれています。
第三にウミネコの頭の後方に取り付けられたミニカメラによる鳥目線での映像は、まるで自分が空を飛んでいるような臨場感にちょっと目が回るほどでした。
第四に、ウミネコの繁殖地は離島にあるそうですが、八戸市の蕪島の場合埋立てにより陸続きとなっていて、営巣は人間との距離が非常に近く観察、見物できる場所にあります。従いまして、沢山の人が毎年押し掛けて、ウミネコが産卵する様を見学するという意味で、観光資源となるってきていることが、納得できました。
第五に、富田様の語り口が一番スリリングでした。大阪出身のための関西弁が親近感を誘う微妙な効果も生み、ウミネコの不思議な飛行記録を追跡し民家の塀に隠れた場所で一体何が起こっているのか、何故あれほどのうみねこや、カラスが屋根に群れているのか、見ている私たちがどきどきし、パンなどをやっているからという時は驚きでした。30余秒の映像実にはっきり映っていました。頭の広報に取り付けられたカメラだからこそ映せたのだと思います。まさにウミネコのレストランと呼ぶにふさわしい場所でもありました。
八戸市蕪島のウミネコは,市民がウミネコとの触れ合いを大切にされたことから人と鳥との間に信頼感、連帯感が生じ、興味深い生態系が構築されている場所だと思います。素人的考えでは、その生態系が構築されるメカニズムを利用し、ウミネコではなくとも手賀沼に相応しい鳥にそのメカニズムを応用していけば、観光資源となる鳥が見つかるのではないかと思いました。
拙文に対し、富田様より研究者として下記のコメントを頂きました。
「現段階では,餌やりが動物に与える影響というのはしっかり評価されていませんので、安易に野生動物に餌を与えることは避けるべきだと思っています。
例えば,パンや菓子類など脂肪分が高く,栄養バランスとしてはどうだろうか思えるようなものが,親鳥だけでなく,体の機能が完全でない雛に親鳥から与えられることがよくあります。彼らがうまく巣立つのか,成鳥になり島に戻った時に影響は出ないのか,考えてしまいます。また、人の給餌に対して複数の個体が一気に集中するため、激しい闘争を誘引します。さらに感染症が広まりやすいなどの問題もあります。
人と野生動物の関係というのを、今後どのように築いていけば良いのか,まだまだ考えることはたくさんあります。
富田様の誠実なコメントをありがたく頂戴するとともに、
「ウミネコのレストランはどこだ? 〜人間生活に密接して繁殖する海鳥〜」は、興味深く、有意義な講演だったことをご報告いたします。
写真は、富田様が共同執筆された研究論文に掲載されている写真の中から引用させて頂きました。ウミネコの背中に取り付けられたカメラにより撮影された写真です。