ユーモアのすすめ 人間が持つ崇高な力 柏木哲夫

多くの老人と接してきて老いを楽しく過ごす上で
その人がユーモアのセンスを持っているかどうかが
かなり重要であると思っている

ユーモア(Humor)の語源はラテン語のHumores(体液)である
人間が生きていくためにどうしても必要な血液やリンパ液
すなわち体液がユーモアの語源であることは興味深い
ユーモアや笑いがなければ恐らく人間は人間らしく
生きていけないであろう

上智大学名誉教授のデーケン先生はドイツのユーモアの定義に
2つあると言っておられる
にもかかわらず笑うこと、そして、ユーモアとは愛と思いやりの
現実的な表現であるというのである
「老いているにもかかわらず笑う」ことができれば
「老いもまた楽し」という境地になりやすいのではなかろうか

有名な精神医学者V・フランクルは「ユーモアが人を生かす」と言っている
強制収容所での「耐え難い苦しみ」に耐えられず、人々が次々と死んでいく中で
人々に生きる力を与えた3つのことについてフランクルは「夜と霧」の中で述べている
それは祈り、音楽、ユーモアだという
日々祈る人、音楽を愛する人、ユーモアのセンスを持っている人が
生き残ったということである

フランクルはユーモアの効用として「自己距離化」という概念を述べている
一見、絶望的で逃れる道がみえないような状況においても
ユーモアはその事態と自分との距離を置かせる働きをする
ユーモアによって自分自身や自分の人生を異なった視点から観察できる柔軟性や
客観性が生まれると彼は言う
フランクルはユーモアについて多くの言葉を残しているが
「ユーモアは人間だけに与えられた、神的といってもいいほどの崇高な能力である」は
有名である
フランクルが挙げた祈り、音楽、ユーモアは他の動物には存在しない
人間特有のものなのである

・・・・・・ユーモアや笑いが人間の免疫力を高めるという研究結果もありますね・・・・

<紅梅もきれいですね>