大塚公園と豊島区南大塚の玉の湯

中央線の水道橋駅とお茶ノ水駅の間の北側斜面に元町公園という公園があります。関東大震災後の昭和5年に開設された、いわゆる復興公園です。本郷の高台斜面を利用して作られたバルコニー、水が流れていたカスケード、藤棚、また入口の柱など、ヨーロッパルネサンス、あるいはモダニズムを思わせるデザインが目を引きます。
これとよく似た感じの公園が、新大塚駅の南側、春日通りの裏手にある大塚公園です。元町公園とほぼ同じ昭和3年開設と言うことです。露壇(バルコニー)、藤棚などの雰囲気が共通しています。大塚公園もカスケードになっていたのか、水が吐けないライオンが、バルコニーの途中で所在なげです。滑り台もなかなか趣があります。特徴がある施設は四阿で、まるでコンクリートのキノコです。これがチョコレートでできた「きのこの山」ならヘンゼルとグレーテルの世界ですが。関東大震災の復興事業の歴史を伝える空間をいつまでも守ってほしいものです。

大塚公園から少し北に玉の湯があります。大塚公園の住所は「大塚」、玉の湯の住所は「南大塚」、「南大塚」は「大塚」のなぜか真北にありますので、迷わないように。JR大塚駅から見ると南ではありますが。それから玉の湯はちょうど大塚駅を取り巻く桜並木の近くにあり、大塚記念湯から見ると反対の端になります。桜並木に出たら反時計回りにまわると玉の湯が見つかります。
ビルの銭湯、というより銭湯ビルになっています。1、2階分が銭湯でその上がサウナのようです。ですから脱衣場も浴室も天井は高いです。脱衣場、浴室とも高所に窓があり境目も天井まで高いガラスなので、とても明るくなっています。ビルですが洗い場が広く、島カランが3列カランを数えると43個も。しかしなにより豆タイルがすごい。男湯は帆掛け舟の浮かぶ海、女湯の方は山脈のようで奥の壁いっぱいに巨大なモザイクタイル絵。浴槽も浴室の床も豆タイル、浴槽の外側には菖蒲、男女境の壁には黒と赤の錦鯉とふんだんに豆タイルが使われています。ちょっと感動。お湯は結構熱めですが、ビルの銭湯としては極め付きの気持ちよさでした。
玉の湯 豊島区南大塚2-31-3 15:00〜25:00 木曜お休み 大塚駅から5分