5月21日多文化カフェ開催しました。
冬支度で切り落とした枝も元の姿に戻り、鮮やかな青葉を茂らせ、涼しい木陰を作ってくれています。ホトトギスの声が聴けないのは残念ですが。
今回は、イタリアから梅花高校留学中のフェデリカ ボノモ(Federica Bonomo)さんに、イタリア・サルジニア島を紹介してもらいました。原稿やDVDなどキッチリ準備され、上手な日本語で分かり易く話をしてくれました。留学制度を支援するAFSや、ホストファミリーの家族もお見えでしたが、助けを借りずにすべての質問に一人で受け答えしてくれました。以下概要紹介。
【サルジニア島の概要】
イタリア半島の西部、地中海東部に位置し、京都・大阪・兵庫県を合わせた程の広さがある。人口は大阪府の約半分。こんなに大きくてきれいな島だが、日本人にはあまり知られていない。気候はいわゆる地中海気候で四季があり、夏場では40℃を記録したこともあるが、地域によっては雪も降る。島の70%は丘と岩の高原で、最高峰は標高1,834mのプンタ・マルモラ山。島には地溝帯もあり、現在は湿地・平野で農地になっている。自然の湖は一つしかないが、人口湖は多い。周辺には小さい島が点在し、サンゴ礁特有の白い浜辺があり、国立公園。近年イタリアを統一したガリバルディが死んだカブレラ島もある。島全体がイタリア共和国の特別自治州である。
【歴史】
コルデッドという洞窟があり、そこで15万年前の人骨が多く発見されている。石器時代の矢じりそのほかの石器も発掘されていて、家畜の飼育や小麦の栽培も行っていた。先史時代(前5〜6千年)にヌラギ人が上陸し、ヌラギと呼ばれる円筒形の石積みの建造物が、大小7千基も残っている。何に使用されたか用途は謎のまま。
ミケーネ人、フェニキア人、カルタゴ人などが、入れ替り立ち替り上陸し、フェニキア・カルタゴ文化が色濃く残っている。ローマ時代には、温泉や道路建設が行われ、ローマの穀倉地帯になった。ローマ帝国滅亡後も、色々な民族の支配があり、1718年までスペインの支配を受けるなど、複雑な歴史がある。第一次世界大戦時、ブリダガッサリという勇敢な連隊があり、大きな声でサルジニア語の讃美歌を歌いながら戦って、敵を恐れさせたという。
常に他民族に支配されてきたので、サルジニア島には伝統的な島独自の旗がある。”過去は嘆かず、未来を見つめよう”という、大切な思いが込められたデザインだと。
【言語】
イタリア語(約半数の人が使用)の他、サルジニア語、サッサリ語が用いられるが、過去支配した民族の影響を受けた、いくつかの方言もある。
【食文化】
地中海の食文化の一部を構成していて、食材としてエビ、貝など海産物が多く用いられる。パンにも多くの種類があり、パーネ・カラザウといったカリカリに焼いたものや、形がナンのようで、柔らかいスピアナタというパンもある。パスタも各種あり、特徴的なものとして、クスクスに似たフレグラというパスタもある。
牧羊も盛んなので、羊乳チーズ”ペコリーヌ”を色々なパンに載せて焼くパーネ・フラッタウなどがある。チーズははちみつと混ぜたり、レーズン、アーモンド、クルミなどとともにクッキーにして食べられる。
先日Eテレで、スイスアルプス氷河で発見された、5千3百年前の古代人”アイスマン”の調査が放映された。それによると、同じDNAを持つ人は大陸には居なく、サルジニア島にのみ生存していた。胃を調査したところ、焼いたパンを食べていたことが分かり、研究者は、5千年以上も前からパンを焼いて食べていたと驚いていた。多文化カフェの話題と一致し、興味深かった。(本件筆者の感想)
【お祭り】
島内の地域ごとにそれぞれ特徴的なお祭りがある。いくつかのお祭りがDVDの映像で紹介されたが、ここでは、それらの内、一番有名なお祭りを紹介。オリスタノにあるサルティリアという祭りで、今年で548回目になる。クライマックスは、最終日に、馬に乗ったキング役の人が、疾走しながら、ロープにつるされた星の形をしたリングの的を剣で突き抜くところ。その後、数人が馬に乗ってアクロバティックな演技をしながらのパレードもある。(文章では衣装や、仮面、祭りの雰囲気が表現できず残念)
【自分の街と家族】
フェデリカさんは、島北部の海辺の街ポルト・トッレス(タワーのある港の意)市という、ローマ時代の遺跡も残り、ビーチで有名なきれいな街の生まれ。産業は漁業は当然だが、島で一番の工業がある。
家族は、父が46歳、母は42歳。父の職業は、レーダーなど船舶用の用具の販売とメンテナンス。23歳の姉が居て、大学で心理学を勉強中。
サルジニア島で、Liceo Classico Domenico Alberto Azuniという高校に通っている。イタリアの学校制度は、小中高それぞれ5,3,5年の13年制。高校には理科系と文科系があり、文科系には言語系もある。専門学校も商業・工業・美術の3種類がある。フェデリカさんは、文科系で哲学、ラテン語、古典ギリシャ語を勉強中。(最初に書いたように、彼女が日本語が上手なのは、言語に対する興味と能力が高いからと納得。)
【主な質疑】
・将来は? 帰国後ローマの大学に進学して、ガイドの仕事をしたい。
・梅花高校での部活は? 茶道部。
・日本で興味を持ったことは? 漫画、たこ焼き、みたらし団子、日本舞踊。
6月11日、梅田阪急百貨店で、留学生たちによる日本舞踊の披露がある。
演目は、「ひな祭り」と「祇園小唄」 、流儀は花柳流。
・お祭りのキングはだれが勤めるのか? 市長とか街の名士。
・島へのアクセスは? 国際空港が3か所、地方空港が2か所あり至便。
日本人の観光客が少ない。民宿もあるので来てほしい。
・家族は大家族か? 祖父母とは別居で、4人暮らし。 等々
(文責 濱崎)