「八重の桜」

(%紫点%) 前期講座(文学・文芸コース)の第11回講義の報告です。
・日時:6月27日(木)午後1時半〜3時半
・場所:すばるホール(3階会議室) (富田林市)
・演題:「八重の桜」
・講師:本井 康博先生(同志社大学神学部 元教授)
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(%エンピツ%) 講義の内容
1.大河ドラマ「八重の桜」の舞台裏
*右は、「八重の桜 前編」(NHK大河ドラマストーリー)より。
・NHK大河ドラマは、「八重の桜」で第52作になるが、経済効果も大きく、そのため、誘致運動はかなり激しい。→全国的に見て、ほとんど無名に近い「八重」が取り上げられたのは何故?→『3.11 東北大震災・福島原発事故』でNHKは方針転換(3.11の悲劇を受けて、大河ドラマの人選を洗い直した。もはや、単なる娯楽番組を作るべきではない)…【福島県+女性パワー】で福島・東北に元気と勇気を与えるのが主眼の番組を目指した。
・「桜」に希望を託す⇒「春は必ず来る」メッセージの発信
2.なぜ八重か
・福島県人を主役…男ならば、「保科正之」、「野口英世」。近代史の中の会津の女性ならば、「中野竹子」(幕末のジャンヌ・ダルク)、「山川捨松(大山巌夫人)(クリスチャンレディ)」、「海老名リン」、「若松賤子(しずこ)」、「瓜生岩子」の五人の女性があげられるが、会津でも無名に近かった「山本八重子」が取上げられたのは→《東北大震災後の福島振興番組のヒロインに最適(持ち前のキャラ)ー頑固、元気、信念、男優り。》《たくましくなくてはいけない、21世紀の起き上がりこぶしのように》

3.新島八重(山本八重子)の生涯(1845〜1932)
(1)第1ステージ:会津時代(1845〜1871)
◇山本家(会津藩士、砲術指南)
兄・覚馬(かくま)(日新館教授)⇒準主役
覚馬は、江戸・長崎で修業(佐久間象山、勝海舟ら)。江戸で川崎尚之助をスカウトし藩校教授に⇒八重の初夫。−会津藩主(松平容保)の京都守護職就任に伴い上洛(蛤門の変、鳥羽伏見の戦い(戊辰戦争)を指揮)。⇒敗戦後、薩摩藩邸(現、同志社大学今出川校地)に幽囚【幽囚中、『管見』を口述筆記。戦後、新政府(京都府庁)に取り入られ、顧問(京都府知事のブレーン)に】
八重
男児と遊ぶ、怪力⇒女丈夫(女傑)
初婚:川崎尚之助(但馬出石(たじまいづし)藩士)
鉄砲、大砲が操れる⇒白虎隊士を指導、会津戦争で篭城戦
戊辰戦争(1868)で敗者に[鳥羽伏見の戦い:父と弟(戦死)、兄(幽閉)]」
「戦争上がりのおてんば娘」を自称
敗戦後に離婚(離縁):理由は不詳
(2)第2ステージ:京都時代は、次回の講義(10月17日)となります。

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**「八重の桜」はこれから**
・2009年4月22日に放送されたNHK「歴史秘話ヒストリアー悪妻伝説、初代ハンサムウーマン・新島八重の生涯」は視聴率がよく、何回も再放送されて好評。
・しかし、現在、放送中の「八重の桜」の視聴率は低迷(13%台)しています。…兄・覚馬が主役的(京都で活躍する場面)で、主人公・八重がまだこれといった活躍をしていない。⇒「八重の桜」は全編で50話から構成され、約30話が会津時代です。その後の新島夫人(「初代ハンサム・ウーマン」の京都時代は、もう少し待たなくてはいけません。兄・覚馬を準主役として出番が多いのは、八重とともに京都時代の中心となる背景があります。
・3年前、八重を知っている人は少なかったとき、本井先生は八重を取上げた『ハンサムに生きる』(思文閣出版、2010年)を出版されています。⇒現在は、NHKの番組作りを支援されたり、東北など各地に講演に出かけられています。