戦後68年 岐路の日本 希望を見つける対談 辰巳芳子×若松英輔

・国としての生命観の欠落。
これは日本の体質なんです

生命観とはいのちの手応えと言ったほうが
良いのかもしれません
それが今の政治には危機的に欠けている
国としての生命観、その欠如がある日本の体質とは
本当に考えてみるべき言葉です
体質は容易には変わらない
そのことを見過ごして経済発展などの
表層的な変化に目を奪われてはならない
例えば憲法を考えるときもいのちの問題を忘れてはなりません

・距離的には二人はすごく離れている
しかし共にいることができる
単なる思いではないように感じます
離れていても共に生きる、人間がなしえる最も高貴な営みではないでしょうか

万葉の時代、みるとは魂にふれることを意味しました
ですから看取るとは、最期までそばにいるということよりも
これから逝く人の魂をみることだと思うのです

・自信という言葉をめぐってもその本来の意味が忘れられている
自信とは他者との比較ではなく
自身への信頼の回復だというのはまったくその通りだと思います

・例えばスープの献立がある、それは単なる手順書ではなく
食べ物がいのちへと姿を変えていく物語のように思われたんです
素材そのものでは、われわれを充分に生かすことはできないけれども
それが調理されると心身を深く養ってくれる
考えてみるととても不思議なことです

・人間の肉体が食べたものでできているように
精神は考えたこと、すなわち言葉によって養われている
だから何を食べ、どんな言葉にふれてきたかが、その人を形成する

<ヤマハギが咲いていました>