安倍首相は成長戦略の柱の一つとして、「女性の活躍」をあげた。
子どもを産み、育て、家事もこなし、さらに家庭の外に出て稼ぎ、親世代の介護まで担う。これらすべてを女性に期待するとすれば、それは男性側のご都合主義だろう。女性に活躍を求めるなら、男性も変わらなくてはならない。
社会で男女が対等かどうかの観点からみると、日本はとても先進国とは呼べない。男女共同参画白書によると、組織の管理職に占める女性の割合は、わずか11%にとどまる。4割の米国や3割台が多い欧州各国に大きく差をつけられている。
経済、政治、教育などでの男女平等の度合いを示す「ジェンダー・ギャップ指数」を見ても、この傾向が顕著だ。世界経済フォーラムがまとめている指数で、日本は135カ国中、101位だ。中国やロシアなどの新興国だけでなく、多くの途上国にも後れを取っている。
なぜ、これほどまでに社会で女性が活躍しにくいのだろうか。仕事と子育ての両立が難しいことが、その大きな要因だ。仕事か家庭かの二者択一を迫られる女性は少なくない。働く女性の半数以上が、第1子出産を機に仕事を離れている。
働き方の見直しは、少子化対策としても繰り返し重要性が指摘されてきた。「女性の活躍」が大きなテーマとなった今こそ、改めて推進すべき課題だ。決して簡単なことではない。だが、実現すれば女性が仕事を辞めたり、両立支援制度に過度に寄りかかったりしなくてもすむようになる。
これにより男性が育児にかかわる道も開けてくるはずだ。若い世代を中心に、育児にかかわりたいという意識を持つ人は多い。育児経験がその人の仕事の発想の幅を広げることもあるだろう。
6歳未満の子どもがいる夫の家事・育児時間は1日あたり約1時間で、欧米諸国の3分の1にすぎない。この分担が少しでも増えれば、女性が働き続ける後押しになるはずだ。>>http://www.nikkei.com/article/DGXDZO58785550S3A820C1EA1000/
2013/08/22 日本経済新聞
◆男女共同参画白書 平成25年版/内閣府男女共同参画局HP
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/index.html
◆日本のジェンダー・ギャップ指数/ 内閣府男女共同参画局
http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2012/201301/201301_04.html#goaisatsu