2013年8月30日、中国文化報は記事「なぜ日本の音楽はネットダウンロードに“破壊”されないのか」を掲載した。
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国際レコード産業連盟(IFPI)によると、CDやダウンロードを合わせた音楽ソフトの売り上げ高は日本が約43億ドル(約4220億円)となり、41億ドル(約4020億円)の米国を抜き世界一となった。その背景にあるのはデジタル化の破壊的な衝撃を免れているためだ。米国の音楽ソフト市場は2000年の140億ドル(約1兆3700億円)から3分の1以下に縮小した。日本はピークだった00年の64億ドル(約6280億円)と比較しても3分の2の規模を保っている。
なぜ日本だけがデジタル化の衝撃を免れることができたのか。理由の一つとしては日本の消費習慣が異なっているためだ。日本ではアイドルが音楽産業の一部を担っているが、忠実なファンは同じアルバムの異なるバージョンを複数買いすることもいとわない。AKB48などのアイドルグループがCD売り上げをキープしているゆえんだ。
加えて音楽会社が版権管理、販売ルート、消費者の誘導などに強い支配力を持っていることも背景にある。例えばアップル社の音楽販売サービス、iTunesでの販売価格は日本では1曲250円が一般的。米国の1曲0.99(約97円)をはるかに上回る。音楽会社は価格を下げればCDが売れなくなることをよく理解しているのだ。また、ネットに海賊版を流通させると最高で懲役10年という厳しい罰則が科せられるほか、ソニーが長年にわたり傘下のアーティストのiTunes配信を拒否するなどデジタル化に抵抗してきたことも要因となっている。
消費方式の面をみると、アイドルグループに顕著な複数バージョンの購入だけではなく、市場がきわめて細分化されていることも特徴だ。ポップスやロックなどさまざまなジャンルがあるばかりか、DVDなどさまざまな商品をそろえ、消費者に選択肢を与えて購買意欲をかき立てている。日本のCDショップに置かれている商品の豊富さは驚くばかりで、単調な中国の店とは比べものにならない。これらの要因を見れば、日本の音楽市場がデジタル化の衝撃を免れていることも決して驚くような話ではない。