マスクの上半分が涙で濡れている。

インフルエンザが治らずチョ〜困ってる- 夕刊フジ(2012年2月29日17時12分)

 年をとると病気が治りにくくなる−とはいうが、それほどの年齢でなくても、ストレスが強いと病気も簡単には治ってくれない。今回はインフルエンザが治らずに困っているYさん(35)のお話。

 その日、Yさんは朝から調子が悪かった。どうにか会社にはたどりついたが、熱を計ったら39度もあった。早退して会社近くの診療所を受診。検査の結果「バッチリ陽性です」と告げられ、晴れてインフルエンザの身となった。

 帰宅して抗ウイルス薬を飲んだ彼は、そのまま週末をまたいで4日間を寝て過ごす。5日目には熱も引いたので出社した。

 しかし、どうにも調子が出ない。出るのは咳だけ。しかもだるい。周囲は「仕事はわれわれに任せて、もう少し休んでは?」と勧めるが、一人ひとりの顔には「ロクに仕事もできねえくせして、のこのこ出てきて病気をうつすんじゃねえよ」とハッキリ書いてある。

 夜、帰宅すると小学生の息子2人がインフルエンザで寝ていた。妻は「あなたがうつしたのよ」と怒っている。

 彼自身まだ調子が悪いのに、会社にも家にも居づらくなってしまった。

 子供たちは特に薬を飲まなかったが、3日も寝ていたらすっかり元気になった。しかし、Yさんはいつまで経っても咳が止まらず、だるさも抜けない。そんな“半病人”のまま、はや2週間が過ぎ去ろうとしている…。

 「ストレスが回復を遅らせていることは十分に考えられる」と語るのは、キッコーマン総合病院の三上繁院長代理。Yさんのケースは、ストレスが免疫力を下げているのだろうと分析する。

 「菌には抗生物質が効きますが、インフルエンザのようなウイルスには効きません。最近は抗ウイルス薬が使われますが、基本的には自分自身の体力で回復させていくしかない。

ストレスで免疫力が下がっている人は、それだけ感染しやすく、治りにくい。ストレスの多いサラリーマンは、インフルエンザから復調するのに2週間や3週間かかる人も珍しくありません」(三上医師)

 会社でも家でも“隔離”という名目で、のけ者扱いが続くYさん。マスクの上半分が涙で濡れている。(長田昭二)