「和食」が無形文化遺産に ユネスコの事前審査通る2013年10月22日21時10分
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【藤井裕介】文化庁は22日、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に推薦していた「和食」について、事前審査をするユネスコの補助機関が「登録」を勧告したと発表した。同庁によると補助機関が「登録」を勧告して覆った例はなく、12月にアゼルバイジャンで開かれる政府間委員会で正式に登録が決まる見通しだ。
なぜ和食を無形文化遺産に?
政府は昨年、「『自然の尊重』という精神を表現している『社会的慣習』」として「和食」を推薦した。多様な食材を新鮮なまま使用
▽コメを中心に栄養バランスに優れた構成
▽自然の美しさや季節感を表現▽正月や田植えなどの年中行事と密接に関連、といった特徴を挙げ、食材や料理法だけではなく、家族や地域の結びつきを強める「日本食文化」として登録を目指した。
東京電力福島第一原発の事故による放射能汚染で打撃を受けた国産食材のイメージ回復も狙っている。
健康や環境に配慮し、外国の食文化も取り入れて変化してきた「和食」の無形文化遺産登録で、政府は、日本の食文化への理解が広まることや、文化の多様性や人類の創造性を示すことにつながると期待する。
「無形文化遺産」は、芸能や祭り、伝統工芸技術などを対象とする。遺跡や自然が対象の「世界遺産」、文書や絵画などが対象の「世界記憶遺産」とともにユネスコの「三大遺産事業」と言われている。
国内からは2012年までに歌舞伎など21件が登録されている。食関係では、フランスの料理や食文化、地中海周辺の料理、メキシコの伝統料理、トルコの麦かゆ食など4件が登録されている。いずれも単に料理だけではなく、各地の伝統や儀式などとの関わりが評価されている。