ドイツで、日本と東アジアはどう報じられているか?

ドイツで、日本と東アジアはどう報じられているか? [著]川口マーン惠美
[文]朝日新聞社広告局 [掲載]2013年10月16日

表紙画像
著者:川口マーン惠美 出版社:祥伝社 価格:¥ 840

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■日本人が知らない驚くべき現実、おそるべき真実を明らかにする

 本書を読むと、空恐ろしくなる。「尖閣は本来中国のものであったのを日本が掠(かす)めとったもので、悪いのは日本だ」というのが大方のドイツ人の常識というのである。

また、原発事故の報道においても、「死の恐怖に包まれた東京」という見出しや「首都圏の住民3800万人がまもなく逃走しはじめる」といった記事を紹介。ドイツ人特派員による意図的かつ「わざと誤解を招くための仕業」を、著者はやり玉に挙げる。

 しかし著者の真の目的は、ドイツメディアの糾弾ではない。日本人とドイツ人が直に接する機会を増やすこと、日本の政治家が国際的な場で発信する努力を怠らないこと、そしてそれらを通じて現在のいびつな関係を正常に戻すことにある。

それにしても、ドイツと中国の関係が現在、さまざまな意味で蜜月時代にあるがゆえに、日本に関する報道がいびつであるといった指摘にはうなずかされる。

著者は数多くの報道資料を紹介しつつ、ドイツ国内の日本に対するイメージとその背景、さらには東アジアに関するドイツ政府のアプローチと視点を明らかにする。事実に基づく分析だけに説得力がある。