日 時 平成25年10月31日(木)
場 所 宝塚中央図書館
主 催 宝塚中央図書館
田辺聖子の評伝小説「花衣ぬぐやまつわる・・・・・わが愛の
杉田久女」について解説していただきました。
評伝小説とは、その人の伝記に研究者の諸説を勘案したり、
空想等も取り入れた評論を伴う小説のことで、前述の小説は
女流俳人・杉田久女を取り上げています。
久女とは「日本新名勝俳句」において、応募総数1万3千句の中で20句に入るほどの人でした。
内容は、前半が夫・杉田宇内(中学校の美術教師)との確執を、また後半は師・高浜虚子との確執を描きながら、当時の社会の中における女性の立場について、その憤りをも垣間見えるものです。
これまでにも久女については、松本清張や吉屋信子らも取り上げておりますが、前者の「菊枕」には久女の俳句がひとつも掲載されておらず、久女のヒステリックな部分のみがクローズアップされているかのようですし、後者の「私の見なかった人(杉田久女)」は、評伝というよりはややねつ造されたお話しのように感じるもののようです。
そこで田辺聖子は膨大な資料を収集し、その中から取捨選択していく手法をとり、また忠実に時系列に追っていき、気品のあるものに仕上げられているとのことでした。
(写真は、会場の受付付近です。)