糖尿病・メタボ改善物質を発見 東大など、治療薬に期待2013年10月31日03時02分
【土肥修一】メタボリックシンドロームや糖尿病を防ぐホルモンの働きを活発にする物質を、東京大の門脇孝教授(糖尿病・代謝内科)らの研究チームがマウスの実験で発見した。
運動や食事制限ができない患者のメタボや糖尿病を改善する薬の開発につながるという。「5年以内に臨床試験に入りたい」としている。31日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表する。
脂肪細胞から分泌される善玉ホルモン「アディポネクチン」は血中で脂肪を燃焼させたり、糖を分解するインスリンの働きを助けたりする。
この血中濃度が下がるとメタボや糖尿病の原因となり、心臓病やがんの危険性が高まるとされる。
門脇教授らは600万種類以上の化合物の中から、アディポネクチンの受容体を活性化させる物質を見つけた。
この物質をのみ薬として2型糖尿病のモデルマウスに1日1回、10日間与えたところ、与えないマウスに比べ、インスリンが効きやすくなったほか、筋肉や肝臓で脂肪酸を燃やす酵素が活発になるなど運動と同じような効果があった。
メタボや糖尿病は、食事制限や運動療法が有効とされるが、心筋梗塞(こうそく)などの病気やひざや腰の障害などで運動ができない人も多い。
門脇教授は「薬ができれば、運動ができない場合でも効果的な治療ができるようになる。できるだけ早い時期に臨床応用につなげたい」と話す。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201310300626.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201310300626