倫理学の意義をめぐって

日 時 平成25年11月9日(土)
場 所 関西学院大学
主 催 同大・オープンセミナー係
 哲学者・和辻哲郎の倫理学について解説をしていただきました。
 和辻は1927年にベルリンへ2年間留学し、西洋の近代都市を
体験して強い印象を受けましたが、珍しいとは感じなかったようで、
かえって東京の方が珍しいのではと思ったとのこと。
 これはベルリンが都市として建物といい、乗り物といい、非常に
マッチしていたのに比べ、東京は西洋的なものと日本古来のものが混在していたことによるようです。
 日本が国民道徳論(忠と孝・家族国家等)のある中、文明開化によって西洋文化を受入れていくうちに、人間とは・・・と考えるようになってきたのでしょうか。
 彼は人間とは「よのなか」「世間」を意味し、「人」の意となったとも、また人間は個人であり、社会でもあるとも解釈いたしました。(人間は、人と人の間)
 人間には間柄が存在しますがこれは個々人(夫婦・子供等)であり個と全体(家庭等)の関係もあります。
 彼の倫理学は個は全体によって制限(否定)されるが全体は個に制限(否定)を受けないとしています。
 すなわち、人間の存在には間柄があることから、全体性の変革の可能性はないということでしょう。
 ただ彼の風土学においては、これを超越しようとするものがひそんでいるように見えます。
 人間の概念を和辻は「空」と言い、ハイデッカーは「無」と表現したとか・・・。(写真は会場の建物)