筋肉減少抑えるアミノ酸・ロイシン 高齢期のロコモ予防
★サルコペニアの克服(中)
2013.11.10
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連載:ドミノ骨折を防げ メタボより怖いロコモ
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先週に続き、味の素主催の健康セミナー、国立長寿医療研究センターの鈴木隆雄所長の「高齢期の筋肉減少症とロコモ予防」をリポートする。
注目すべき報告があった。加齢によるサルコペニア(筋肉量減少症)をロイシンと呼ばれるアミノ酸を摂取することで克服できるのではないか−という試験を味の素と共同で行ったという。
東京の75歳以上のサルコペニアの女性を無作為に155人選び、4群に分けた。A群=1カ月に1度、健康講話を受講▽B群=ロイシン高配合(40%)必須アミノ酸混合物(Amino L40)3グラムを1日2回服用▽C群=週に2度の運動教室(60分)▽D群=Cと同様の運動を行い、Bと同様にAmino L40を摂取。セミナーを聞くだけの群、アミノ酸服用だけの群、運動だけの群、運動とアミノ酸服用の群である。
運動は、いすを使ったスクワットなど下肢筋肉運動中心に週2回。各群の体組成・運動機能の変化を12週間測定した結果はグラフの通り(同セミナー資料から作製)。
筋量、筋力の変化率ではD〉C〉B〉Aが歴然。歩行速度の変化率でも、ほぼ同様で、運動とアミノ酸摂取群が優位だった。筋量と筋力の改善割合はアミノ酸摂取により2倍に、運動により2・6倍に、さらに運動とアミノ酸摂取を組み合わせると4・9倍に増加することが分かった。
サルコペニア克服にアミノ酸摂取が効果があることが認められたのである。
「高齢期になって最初に起こる運動障害は歩行障害です。この試験で下肢の筋肉の量と力にアミノ酸と運動が有効だということははっきりしました。さらに、運動ができない方でもロイシンを多く含むアミノ酸を服用する効果があることも分かりました。いままでは年のせいとして対策が立てられなかった日常生活の衰えを、予防することが可能になったといえると思います」(鈴木所長)
この結果は日本老年医学会のホームページに掲載されている。次回もこのセミナーのリポート。 (木村進)
■ロコモ ロコモティブシンドローム=運動器症候群の略。筋肉や骨などの衰えで歩行などに支障を生じ要介護リスクが高まる。予備軍含め4700万人が危機にある。