産経新聞 2013.12.10 08:21
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の改善のアプローチとして、
マカダミアナッツオイルを使ったボディーマッサージに効果があることが、
医学的に証明されてきている。
有効成分が皮膚から浸透し、動脈硬化や血糖値を改善するとのデータもある。
医薬品だけに頼らない統合医療の新たな分野となる可能性を持っている。(山本雅人)
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血糖値が低下
研究を行っているのは、大阪大大学院医学系研究科の前田和久准教授のグループ。
マカダミアナッツに着目したのは「パルミトレイン酸という不飽和脂肪酸が
他のナッツに比べ、大量に含まれている」からだ。
前田氏のグループは、メタボの典型的な症状で、
糖尿病にも大きく関係するインスリンの作用不全の改善に
パルミトレイン酸が寄与することを突き止め、平成20年に発表した。
パルミトレイン酸のこのような性質を実証しようと前田氏らは、
健常な成人男女8人を対象に臨床研究を実施。
マカダミアナッツオイル10ミリリットル(大さじ2/3杯程度)を使った
ボディーマッサージを20分間行い、その後の血中のパルミトレイン酸の濃度を調べた。
その結果、1時間後の血中濃度が30〜40%増加し、
早期の動脈硬化を見る指標の数値も施術前に比べ、14%改善した。
一方で、別の14人を対象に、マカダミアナッツオイルとパルミトレイン酸の含まれていない
ココナツオイルの2つのグループに分け、さらにグループ内で日を別にして
オイルマッサージの施術を受けた後と受けない状態とで、
糖尿病検査で使うブドウ糖水溶液を飲んでもらい、血糖値を測定。
すると、マカダミアナッツオイルの施術を受けた場合だけが他に比べ、血糖値が有意に低下した。
これは「皮膚からパルミトレイン酸が血中に吸収された」(前田氏)ことを示したものだ。