いのちに優しく いまづ医師の漢方ブログ


冬の牡蠣、ファストフード多い方に

ソースかしょうゆか

 冬の寒い時期、牡蠣かきが食べ頃になります。三陸や広島など、日本は海に囲まれていますので、全国に特産地があります。冬ばかりでなく、夏には能登の岩牡蠣もありますね。

先日、牡蠣フライが大好物の友人から、質問を受けました。彼が行くレストランでは、牡蠣フライには、ソースが添えられるのだそうです。しかし、その友人は、しょうゆをかけてたべるのが当たり前だったとのこと。そこで私への質問は、牡蠣フライにソースをかけた方がいいのか、しょうゆの方がいいのか、医学的にどう考えるのか、というのです。

 わたしは大変困ってしまいました。

 お皿の脇に添えてあるレモンは、レモンに含まれるクエン酸に殺菌作用があるため、食中毒を予防すると説明はできるのですが、牡蠣フライにしょうゆとソースの組み合わせの効能までは、残念ながら医学的に説明できませんでした。

 主な食べ物と付け合わせの効能を表にしてみました。

牡蠣フライ

レモン

クエン酸による殺菌作用

おにぎり

梅干し

クエン酸による殺菌作用

刺し身

わさび

アリルイソチオシアネートによる殺菌作用

うどん、そば

ネギ

アリシンによる殺菌作用

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不足しがちな亜鉛たっぷり

 牡蠣には、亜鉛が豊富に含まれています。この亜鉛不足が、味覚障害の原因になることはみなさんもよくご存じだと思います。ファストフードが多い方は、栄養バランスがかたよってしまい、亜鉛不足になりがちです。和食の食材では、煮干しやごまなどに亜鉛は含まれています。毎日、少しずつ亜鉛をとるように心がける必要があります。

 がん化学療法を受けている方が、味覚障害を訴えることはよくあります。この場合は、治療として亜鉛を補充します。ただ、亜鉛不足以外にも治療による神経障害や口腔こうくう粘膜障害による味覚障害もありますので、注意が必要です。

 牡蠣の恩恵は、亜鉛だけではありません。牡蠣の殻は「ぼれい」と呼ばれ、こまかく砕いて漢方薬の原料にも使われています。使われている主な漢方薬は次の通りです。

安中散(あんちゅうさん)、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)

 日本は四季折々、様々な食材を楽しむことができる国です。その時々の旬を楽しむには、八百屋さんやお魚屋さんの知恵を借りるといいでしょう。安くて美味おいしい食材で楽しい食卓を家族と一緒に過ごすことが健康にとって、一番の栄養となります。その時期にしか食べられないものを季節の恵みと感謝して、毎日を過ごしましょう。