日 時 平成26年3月12日(水)
場 所 甲子園大学
主 催 地域連携推進センター
文学作品の中の見事なことばには感心させられます。
たとえば、夏目漱石の小説”それから”の冒頭部分ですが、
「(略)八重の椿が一輪畳の上に落ちている(略)赤ん坊の頭
程ある大きな花の色を・・・」では、椿の色が何色かはあえて
明記せず、それらは読者に連想させる一方、赤ん坊の頭程
ある椿など現実には存在しないのに、読者に大輪を想像させるように持っていっています。
また松尾芭蕉の”奥の細道”の句に、「閑かさや 岩にしみいる 蝉の声」がありますが、これもことばによってすでに「閑かさ」を主張しているにもかかわらず、さらに五・七・五の中にサ行を多く用い、より一層の閑かさをプラスして全体を完成させています。
ことばには、①音・②記号・③イメージの要素があります。
①の音では、「橋・端・箸・・・」や「雨・飴・・・」等同じ音でも全く違う意味のことばが多数ありますが、これはアクセントやリズムによって容易に解らされますし、②の記号は、暗号のように特定の人のみが解るものと、数字や元素記号のように万国共通のものがあります。
③は、「バラ・ばら・薔薇」のように同じ意味のものでも書き方によって受け止め方が微妙に異なります。
発想や表現もさることながら、これら”ことば”の持つ特徴を最大限に生かしたものが名作と言われる作品なのでしょうか。(写真は講座会場です。)