川越から浅草へ東武西板線計画といこい湯

東武大師線は西新井大師まででもお客さんはありますが、初めから大師前で止まるつもりではなく、大正時代に西新井と東上線の上板橋を結ぶ「西板線」として計画されました。川越の方から浅草へ列車を走らそうというわけです。しかし関東大震災の復旧に資金が必要で、荒川を越える架橋が難しくなり、その間に予定路線上は急速に市街化していきます。結局西新井と大師前を結んで、残りの計画は断念してしまいました。

もし出来ていれば、たちばな湯、いこい湯の近くを電車が走っていたかもしれません。ルートは違いますが、今は都バス王40系統が西新井から荒川土手、王子駅、西巣鴨を通って池袋を結んでいます。いこい湯に行くのに便利なので池袋から乗ってみましたが、本数は多く、しかもかなり混んでいて、終点まで席が空くことはありませんでした。西板線ができていればなかなかいい線いっていたかもしれません。
西板線の遺構はほとんでありませんが、上板橋付近に買収してあった用地が、5年前に岩の湯でご紹介した常盤台の住宅地になっています。

いこい湯は、日暮里舎人ライナーの江北駅の少し西側で、都営上沼田団地の一角のような場所です。上沼田団地は1000戸近い大団地で、完成したのは古く昭和35年、今行ってみると、後から浴室を増設したのが丸分かりな建物です。伝統和風のいこい湯の建物の方が実は新しくて、いこい湯は風呂なし大団地の住民の方で賑わったことでしょう。
外見は立派な千鳥破風の伝統建築ですが、内部はあちこち改装されているようです。脱衣場は格天井を改造したような板張りの天井。坪庭もありますが、ベニヤ板で隠れています。浴室も伝統的な構造ですが、ペンキ絵はなく、浴槽の背後は花をモチーフにした立体的な飾りタイルです。
いこい湯 足立区江北4-27-3 15:30〜22:00 第1、3水お休み(第2、4水は営業) 日暮里舎人ライナー江北駅、または西新井駅からバス江北4丁目から3分くらい