2014年5月24日土曜日、京都市国際交流会館ホールで
NPO法人認知症予防ネット設立10周年記念講演会」を開催しました。
詳細は後日としまして、少しだけ雰囲気を伝えます。
第1部 韓国における「スリーA」
第2部 東日本被災地での「スリーA」
第3部 「スリーA」一年生
13時半より(以下配布したレジュメ)
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第1部 韓国におけるスリーA
佐々木 典子
NPO法人認知症予防ネット韓国支部長
韓国 江南大学 シルバー産業学部教官
はじめに
Ⅰ. 韓国におけるスリーA活動
1.スリーA実施機関
2.お仲間さんの状況
3.MMSEの状況
4.リーダーの観察から
1)車椅子移動から自力で歩行車移動—チョンアムのAさん(82歳)
2)自分の靴箱の場所を確認—果川福祉館デイケアセンターのBさん(94歳)
3)やさしくなったヘルパーさんーチョンウンデイケアセンター
4)それぞれの施設からの声−プログラムを導入してからの変化
5.施設でのスリーAの課題
6.うれしいお知らせ
Ⅱ.韓国シニアケア研究会とスリーA
1.出会いから実践へ
2.リーダー養成課程
Ⅲ.韓国の認知症対策
1.韓国の認知症の現状
2.認知症管理法と認知症関連サービス
1)認知症管理法
2)認知症支援センター
おわりに
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韓国江南大学で教鞭をとっていらっしゃる佐々木典子先生の講演です。
オシャレなパワーポイントを駆使してのお話しは、スリーAが韓国での拡がりを映し出しました。デイサービス4か所でスリーAを取り入れている報告はありましたが、10か所にも増えて、続けられているとのことでした。
その良い効果も報告されていました。
1)車椅子移動から自力で歩行車移動—
82歳の方、施設に隣接する会場でのスリーA脳活性化ゲームに参加するために、スタッフに車いすを押してもらっての参加でしたが、回を重ねるごとに元気を取り戻されて、歩行カートをゆっくりですが自分でおされて参加をするようになられた報告。
2)自分の靴箱の場所を確認—
94歳の方、奥様に先立たれてデイサービスに通所されている方。韓国では長男との暮らしが当たり前のようですが、事情があり娘家族と暮らしていて、娘に済まないという想いがある、デイでの様子は、運動も億劫、食事も残され、静かに涙を流されていることが多かったそうです。スリーAに参加されるようになってからは、表情は明るくなり、「じーっとしていたら退屈だからボール運動でもしよう」と積極的に運動もされるようになられた。
ある日、娘といっしょにセンターに来られた時、娘さんが、お父様が自分の靴箱に靴を入れ、杖も自分の杖置き場にきちんと置かれるのを見て、「なんだかずいぶんよくなったようですね」と驚かれたそうです。「センターに通い始められた頃は、ご自分の靴箱がわからなくてきちんと入れることがおできになりませんでしたが、最近では靴も杖もきちんとおできになりますよ」とお伝えすると、娘さんはとても喜んでいたそうです。
3)やさしくなったヘルパーさん
ある施設は今年の3月の終わりからスリーAの実践を始めたばかりで、まだ8回が終わったところだそうですが、4・5回が終わった頃から、スタッフが参加者の方にとても優しくなってきたという報告。何かと指図をしたりすることがなくなってきて、十分に待つことができるようになってきたというのです。
スリーAをより効果的に行うには、理解あるスタッフの存在が欠かせません。施設で行う場合、毎日、共に生活して、参加者の方の細かい状況をよく知っていらっしゃるヘルパーさんが、ああこの人には、このように接した方がよい、こうするのは嫌いだからこうしよう、とスリーAの進行中に、的確に接して支援していただくことができれば、効果はもっと高まると思います。スリーAを理解したヘルパーさんたちがスタッフとして入ることで、参加者の方にもよい効果があり、またスタッフの方にも優しさの対応が身につくようになり、よい結果が出てくるのではないかと楽しみにしています。
と仰っていました。
また、増田先生の「スリーA折り梅予防デイサービス」を見学されて驚いたのは、リーダーはもちろんですが、スタッフの方々があ・うんの呼吸で参加者の皆さんに寄り添ってサポートなさっている姿のすばらしさでした。こうしたスタッフを育てていくことが、施設でのスリーAの効果を高めるのだと思います。とも。
4)それぞれの施設からの声−プログラムを導入してからの変化
・笑顔が多くなりました。
・動きが柔軟になりました。
・集中力が出てきました。
・プログラムに参加するのをとても楽しみにしていらっしゃいます。
・表情が明るくなりました。
・表現力が高まり自信が持てるようになってきました。
・このプログラム、毎日あったらいいのにという声が聞かれます。
・車椅子で来ていた人が、今は歩いて参加しています。
・言葉が多くなりました。
・消極的でしたが、進んで行えるようになりました。
・歌をうったったり、踊りを踊ったり、表現力がとても広まってきました。
・他の人に自己主張できるようになりました。
・シートボールでの反則が目に見えて減ってきました。
ほんの一部でした。
(以下配布レジュメ)
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第2部 東日本大震災被災地に於ける
「スリーAの役割」
小 林 康 子
全国社会福祉協議会 中央福祉学院教授
Ⅰ.はじめに
Ⅱ.認知症をめぐる最近の気になるニュース
・JR事故、行方不明者
Ⅲ.認知症予防の考え方、認知症について
・認知症・ケア・地域(町づくり)→スリーAの役割
Ⅳ.東日本大震災から3年
地域包括ケアシステム→地域
Ⅴ.NPO法人 地域医療を育てる会、情報誌CLOVERから
(医療・住民・行政・福祉の4つのハート)
治さなくてよい認知症→生き生きとした生活を目指す→家庭と地域
Ⅵ.ファイブ・コグ、デュアルタスク、ユニマチュードなど
・デュアルタスク(ふたつのことを同時に行うこと)→脳活性化ゲーム
運動と脳トレーニング→記憶(海馬)、前頭葉を鍛える→予防
・ファイブ・コグ(認知症予防事業評価)→スリーAの位置づけ
・ユニマチュード(フランス生まれの認知症ケア)→優しさのシャワー
フランスで34年の歴史を持つ哲学に基づいた実践的なケア
Ⅶ.おわりに
人は誰かに見つめてもらうことで存在する
人は誰かと言葉を交わすことで存在する
人は誰かと触れ合うことで存在する
人は立つことで尊厳を保つ
ユニマチュードの基本哲学より
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全国社会福祉協議会・中央福祉学院教授の小林康子先生のお話は、東日本大震災の写真や福島大学の学生の復興応援プログラムでの活躍に感動した話しをされました。
そしてスリーAに出会った二本松市でのこと、そのまま気仙沼に行く私たち(中野・福井)を追っかけて、仮設住宅でのスリーA脳活性化ゲーム開催のお手伝いをして下さった写真も見せて下さいました。同じ仮設住宅に居られても見ず知らずだった方が参加されゲーム終了後にはお友だちになられて、これからは仲良くしようねと小耳にはさんだ、帰るお二人の後ろ姿は、とっても良い姿でした。一瞬にしてお友だちになれるスリーAって素晴らしい。
理事長さんに「この講演の小林の役割は何ですか?」とお聞きしましたら「東北に支援に行っていると聞くが、きちんとその役割をはたしているかの証言をしてほしい」とのことでした。この写真のようにゲーム展開をされていて、このじゃんけんタスキとりゲームで優勝した方の笑顔を見て下さい。晴れやかでしょう〜。2日間とても楽しかったです。と2012年8月6・7日のことを話して下さいました。
そして、認知症の定義など、お薬のこと、いろんな事項が盛りだくさんでした。
認知症の治療は、薬物療法を開始する前に、適切なケアやリハビリテーションの介入を考慮しなければならない。
脳を活性化して生活能力を維持・向上をさせるには、快刺激・他者とのコミュニケーション・役割と生きがい・正しい方法を繰り返しサポート。(小林先生のパワーポイントより)
その全ての要素がスリーAには入っている、スリーAを広く広めましょう〜
こちらもほんの一部でした。
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第3部 「スリーA」1年生
ここ1年の間にスリーAに出会って、行動を起こした10名の皆さまからのメッセージを、コムケア事務局長の佐藤修氏をコーディネーターにお迎えして、どのように展開するのか期待でワクワクでした。
とても印象にあるのは、舞台に並んだ10名の方々が、佐藤さんからの宿題「スリーAに出会った時の印象を一言で書き表して下さい」と書かれたひとことを出されたことでした。
「とにかく楽しい!」
「これだ!」
「これはすごい!」
「直感 これはイケル!」
「こんなボランティアもあるんや!」
「これなら私もお手伝いできるのではないか?」
「楽しい!」
「おっもしろ〜い」
「?→目からウロコ」
「さぁ〜これから」
でした。
出来るだけ早く素晴らしい内容を掲載させて頂く予定です。お待ちください。
(文責 運営委員 福井恵子)