「最期の晩餐」にみる構図

日 時 平成26年8月8日(金)
場 所 池田泉州銀行講堂
主 催 TOYROクラブ
 福音書に出てくる「最期の晩餐」を描いた画家は大勢いますが
中でもミラノのサンタ・マリア・デレ・グラツィェ教会の壁画は特に
有名です。(レオナルド・ダ・ビンチ作)
 過越の祭りの夕食にイエスと12使が集まった時、イエスが「あなた方のうちの一人が私を裏切ろうとしている。」と発言したことから、会場は大パニックになります。
 壁画はその瞬間を描いているのですが、まずはレオナルド以外はどう描いたのでしょうか。
 ジョットはテーブルを囲んだ構図で各々に光輪を描いているのですが、ユダのみ光輪はありません。
 ウゲートはやはりテーブルを囲んでいますが、ユダの近くにネコ(邪悪の象徴)を描きました。
 カスターニはテーブルを横長にし、使徒を一直線に並べていますが、ユダのみ向側に座らせています。
 ティントレットは食卓を斜めに配し、ユダは仲間外れ的に描いています。
 さてレオナルドの作品ですが、イエス以下全員を真横に座らせる構図にしています。(写真)
 これは食堂の壁画としての役割として、修道士達と相対するためなのでしょう。
 それでもユダのみは使徒との繋がりからややはずし、光からもはずして暗く描いています。
 レオナルド以前も、レオナルド以降も圧倒的に囲み形の構図が多く、レオナルドはやはり特異な存在だったのではないでしょうか。