そうめんは「コシ」
ゆで時間守り 水でしめる
川津さん(左)の「もみ洗いは強く!手早く!」という説明を真剣に聞く記者=写真はいずれも藤原健撮影
つゆはザルを使ってこす。ザルに残ったかつお節は、お玉で上から押すなどしてギュッと絞るといい
ササの葉を皿に敷き、氷を置いて、見た目も涼しげなそうめん
暑い日は、そうめんがおいしい。料理研究家の川津幸子さんに手軽でおいしい和食を習うシリーズの今回は、そうめんをゆでるコツと、よりおいしく食べるアイデアを教わった。
そうめんは簡単——のはずが、記者(32)の麺は何だかふにゃっとする時がある。相談すると「ゆですぎかしら。コシはある?」と返された。
そうめんにコシ……、感じたことないかも。「ゆでた後に水でしめると、コシが出ますよ」
まずはゆでる。
「たっぷりの湯で、きちんと時間を計る」ことが基本だ。
<湯を沸かして、そうめんを広げて入れ、ふきこぼれない程度の強火でゆでる。ゆで時間は袋の表示通りに>
今回は約1・2リットルの湯で2束、2分間ゆでた。
記者は普段、ふきこぼれないよう途中で水を足す「差し水」をしていたが、「作り方の説明にないなら、火加減を調整してふきこぼれを防げば、差し水は不要ですよ」。
ゆで終わって、次のポイントは、麺がのびないように「手早く粗熱を取る」。
<ゆでている間に大きめのボウルに水を張っておく。麺をザルにあげたら、ザルごとボウルに沈める。そこへ水を流しながら、ザルを上下左右に揺すって粗熱を取る>
ザルをのんびり揺すっていたら、川津さんが突然、ボウルの水をぶちまけた。
何? ナニ? 「麺の熱で水がぬるくなったからよ」。水の温度に注意しつつ続けると、蛇口から勢いよく注がれる水に打たれ、麺が一気に冷めていく。
粗熱が取れたら、ぬめりを取り、コシを出すために「流水で、しっかりもみ洗い」を。
水を流した状態のまま、両手で麺をもむ。細麺だからと遠慮がちにしていたら、「もっと強く!」と発破をかけられた。
ギュッ、ギュッ。まるで洗濯している気分。数回やると、最初より麺がグッとしまったような感じがした。「のびないうちに、すぐ食べましょう」
つゆも自作した。川津さんが教えてくれたのはゴマだれ。「自分で作ると、市販品よりおいしく感じます」
<ゴマだれ(2人分)は、鍋にしょうゆ、みりん各1/4カップ、水1と1/4カップ、かつお節10グラムを入れて中火にかけ、煮立ったら弱火にし、アクが出るようなら取り除き、1、2分煮る。ザルを使ってこす。
練りゴマ大さじ3、4杯を少しずつ加えながら混ぜる>
涼しげなそうめんが食欲をそそる。ツルッと口に含み、かめば、確かにコシがある。ゴマだれの甘みとコクが利いている。
練りゴマを入れずに作ったつゆで食べてもいい。
青ジソとミョウガの薬味に加え、電子レンジで作った蒸し鶏を添えた。栄養バランスも良くなり、ごちそうの雰囲気が出る。
手作りのつゆにたっぷりの具材を用意すれば、来客へのすてきなおもてなしになりそうだ。
【自宅で復習】友人を招いてふるまった。モタモタしないよう、水を張ったボウルや盛りつけの皿、薬味を用意してからゆで始め、一気にもみ洗い。
青ジソとミョウガ、万能ネギ、蒸し鶏、キュウリ、トマトを添えて並べたら、彩りある食卓になった。「麺がもっちり」「具材が多くて食べ応えがある」と好評だ。
友人にゴマだれの作り方を説明しながら、「料理下手の私がレシピを教える日が来るとは」と感慨深かった。(大石由佳子)
(2014年7月9日 読売新聞)