日 時 平成26年11月13日(木)
場 所 宝塚西公民館
主 催 宝塚市民カレッジ
秋にふさわしく、紅葉を意識しての宮本 輝の小説「錦繍」に
ついて解説をしていただきました。
この小説は書簡体で書かれ、テーマは表題です。
物語は主人公・亜紀(35才・再婚して障害児を持つ、再婚後
の夫は外で浮気をしている)と靖明(37才・亜紀の前夫で他の
女性と心中事件を起こしたことで離婚となり28才の令子と再婚している)が、離婚後10年振りに蔵王で再会したことからはじまります。
まず亜紀が「再会した時、捨鉢な雰囲気を漂わせていらっしゃいましたのでお手紙を差し上げました。」と往信し、靖明は「何をやっても裏目裏目で、再会した時はそのどん底でした。」と返信します。
二人は離婚後、決して順調に歩んできたわけではありませんが、これらの手紙を通じて現在を生きながら過去を認識しあい、理解していくことになります。
やがて亜紀は現在の夫とも離婚を決意して障害児の息子と懸命に生きようとし、靖明もまた令子に支えられながら新しい生き方を模索しはじめ、小さいながらも勝利を得ることになります。
このように二人は過去を精算したことにより書簡は終りを告げ、今後は文通することもなく、また二度と会うこともありませんでした。(自らを見直して始まる再生の物語でした。)