久坂葉子の「ドミノのお告げ」

日 時 平成27年1月8日(木)
場 所 宝塚西公民館
主 催 宝塚市民カレッジ
 久坂葉子(本名:川崎澄子)は、川崎造船の創立者・川崎正蔵の
曾孫であり、男爵家の令嬢であり、そして第23回芥川賞候補の
作家でもあります。(母方の曽祖父は旧加賀百万石の前田斉泰)
 彼女は神戸の空襲で亡くなった人の死体を見たり、特攻隊の
青年の写真を見て、死を身近に感じるようになったためでしょうか
「16才の夏に自殺未遂」「16才の冬に睡眠薬を服用」「17才の秋には姉の結婚式の直前に睡眠薬を服用」「21才の春に腕をメッタ切りにして自殺未遂」そして「21才の冬に電車に飛び込んで自殺」をした壮絶な女性です。
 芥川賞候補となった「ドミノのお告げ」は、元々同人誌「Viking」に発表した「落ちゆく世界」を改稿・改題した作品で、没落貴族を扱ったものです。
 この作品は、戦後父がGHQの指令によって公職追放処分となり、家財道具を売りながら生活を余儀なくされたことと深い関係があるように思われます。
 21才という若さで自殺した作家の作品ではありますが、なぜか多くの人に読み継がれています。
 「幾度目かの最期」という作品で自らの死を予告し、それを実行した精神力もさることながら、失恋や名家の娘という重い荷物に押しつぶされそうな中で生きた彼女の姿が私達に訴求しているのかもしれません。