曳舟川親水公園と葛飾区末広湯

曳舟というと、今では墨田区にある京成、東武の駅の方が知られていますが、曳舟川はかなり長く葛飾区の金町のあたりまでつながっていたようです。名前のとおり、川に浮かんだ舟を川岸から馬や人の手で曳いていくのが有名で、江戸時代の浮世絵などにも描かれました。墨田区の曳舟付近ではなく、葛飾区が曳舟川親水公園として整備した、四ツ木からお花茶屋を通って亀有までにそのイメージが残っています。

曳舟川親水公園からすぐ近く、平和橋通りの四ツ木中学入口交差点から東へ入ったところ、破風が立派な風格のある和風銭湯が末広湯です。玄関周りは、意匠もよく、緑が多く、付き物の自動販売機もないのでなかなか素敵な空間です。脱衣場は木が中心。磨かれた木の床、いい色の木の天井、番台の上には千客万来の額、脱衣場と庭の間の鴨居には大入の額が飾られています。
浴室で特筆されるのは貴重な木の桶ですね。浴槽の背景は三保の松原からの富士山のペンキ絵。実物どおり宝永火口が描かれている富士山は実は珍しいです。男女境にも歌麿と書かれた浮世絵美人画の細密タイル絵があります。入浴するだけでなく、眺めても楽しめる銭湯でした。
末広湯 葛飾区宝町1-2-30 16:00〜23:30 火曜お休み 京成線お花茶屋駅から10分