愛着障害 子ども時代を引きずる人々 岡田尊司より その2

*安全基地となる存在

結局のところ、愛着障害を克服していく場合、
こうした第三者の関わりが不可欠といってもいいだろう

その第三者が、親が果たしてくれなかった役割を
一時的に、場合によると数年単位という長いスパンで、
肩代わりすることが必要なのである

そうすることで、子どもは愛着を築きなおす体験をし、
不安定型愛着を安定型愛着に変えていくのである。

その場合に最も重要なことはその第三者が
安全基地として機能しているということである

つまり、親の代わりをするとはすべての面倒を見る
ということではなく、安全基地になるということ
なのである。

安全基地とはいざという時頼ることができ、
守ってもらえる居場所であり、そこを安心の拠り所
心の支えとすることのできる存在である

そして外の世界を探索するためのベースキャンプでもある
トラブルや危険が生じたときには逃げかえってきて、
助けを求めることができるが、
いつもそこに縛られる必要はない。

良い安全基地であるためには本人自身の
主体性が尊重され、彼らの必要や求めに応える
というスタンスが基本なのである

気もちがまだ不安定で心細さを感じるうちは
安全基地に頼り、その助けを必要とするが
気もちが安定し、安心と自信を回復するにつれて
その回数も減り、次第に自力で行動することが増えていく

さらにもっと時間がたてば、心の中で安全基地のことを
思い描くだけで十分になり、
実際にそこに頼ることもなくなっていくかもしれない。
それこそが究極の安全基地なのだ

「安全基地が持てない障害」ともいえる愛着障害を
克服するためには、よい安全基地となってくれる存在が
ぜひとも必要なのである