愛着障害 子ども時代を引きずる人々 岡田尊司より その3

*愛着の傷を修復する

愛着障害の人の多くが未解決の愛着の傷を抱えている。
回避型のように心を凍り付かせることで
それに向き合うことを避けているにしろ、
不安型のように見捨てられる不安が
日々の生活を脅かしているにしろ、
統制型のように周囲の存在をコントロールすることで
愛着不安に対処しているにしろ、
本当の意味で安定した、バランスの良い愛着スタイルを
手に入れるためには未解決の傷を修復する必要がある

愛着の傷には様々なものがある
幼いころに親に捨てられたこと、
親と死別したこと、
親と離れ離れに暮らさなければならなかったこと
親から放っておかれたり虐待されたこと、
親の離婚やけんかを目の当たりにしたこと
親が自暴自棄なふるまいをしたり自殺を図ろうとしたこと、
再婚などにより親の愛情が他の存在に奪われたこと
親が自分よりも他の兄弟ばかりをかわいがったこと、
親からいつも否定されたこと、
親の都合や期待ばかり押し付けられたことなどである

愛着の傷を修復する過程は、
それをただ自覚して認知的な修正を施せばいいという
単純なものではない。
いきなり認知的な修正を行おうとしても
強いブロックがかかっているか、激しい抵抗が起きるかして
簡単に跳ね除けられてしまうことになりやすい。

またいくら本人が前向きに認知的な修正に取り組んでも、
それだけで愛着の傷は癒されない。
認知的な修正よりも、もっと大事なプロセスがある。
そのプロセスとは、言ってみれば幼いころに
不足していたものをとり戻すことである
愛着障害の修復過程はある意味、
赤ん坊の頃からやり直すことである