乾物使い 少量手軽な1品、野菜や海藻…サラダ、あえ物に
乾物は、お気に入りの瓶で見えるように保存。「何があるか一目で分かり、使い忘れを防ぎます」と谷島さん。乾燥させたオレンジの輪切りは、部屋に飾ってインテリアにも(右奥)(東京都内で)=松田賢一撮影
1人分の食事作りでは「余らせて無駄にするのが心配」と、使う食材の数を絞りがちです。でも保存がきく乾物なら、好きな分量だけ使えるので便利。料理研究家の谷島せい子さん(67)に、活用法を聞きました。
私自身も一人暮らしですが、食事をしていて、何か足りないと思うことがよくあります。例えば、野菜が足りないとか、海藻をしばらく食べていないとか。加えて、料理の彩りだったり、品数だったり。それらを補ってくれる便利な食材が乾物です。
乾物というと、たくさん戻して煮るという印象がありませんか。私も家族と暮らしていた時は、ヒジキの煮物など、鍋いっぱいに作っていました。でも、一人では食べきれません。現在、一度に戻す乾物の量は、片手に軽く一握りする程度。例えばヒジキだったら、塩とゴマ油であえてナムルにしたり、オリーブ油とニンニクでいためてイタリア料理の「アーリオ・オーリオ」にしたり。違う味付けで、2回ぐらいで食べます。
乾物は、スープやみそ汁の実としても便利。干しシイタケは、だしも取れ、うまみが増します。レンズ豆もよく使います。大豆より小さいので、早く火が通り、気軽に豆を取ることができます。
乾物でありがちな失敗は、保存がきくからと棚にしまい込んで、それを忘れてしまうこと。見えるところに置いて、日常的に使うことが大切です。私は、乾物をガラスの小瓶に入れてキッチンの棚に並べています。乾物は、水分が抜けてかさが減っているので、小瓶でも、相当の量を収められます。
私は自宅で、余った野菜や有機栽培の果物を干して自家製の乾物も作ります。カラカラに乾燥したキノコやドライフルーツなど、並んでいると美しく、インテリアとしてもなかなかいい。
煮物をたっぷり作り置きするのではなく、サラダやあえもの、スープなどでちょこちょこ使う。乾物で1品増やせれば、「一人でも、ちゃんとした食事をしている」と思えて、気持ちがよいですよ。(聞き手・大石由佳子)
谷島さんに、簡単な乾物の副菜2品(材料=作りやすい量)を教わった。
■ヒジキの真砂まさごいため=写真奥=
【材料】
ヒジキ(乾燥)30g/明太子1本
【作り方】
《1》ヒジキは洗って戻し、水気を切る。明太子は皮を除く《2》フライパンにサラダ油少々を熱し、ヒジキをいためる《3》明太子と、酒少々を加え、明太子が白っぽくなるまでいためる。
明太子の粒々を砂に見立てた「真砂」いため。ぴりっとした明太子と、ふっくらしたヒジキが合う。
■切り干しダイコンのメープルみそあえ=同手前=
【材料】
切り干しダイコン(乾燥)20g/メープルみそ(中辛みそ大さじ1/2杯、メープルシロップ小さじ1/2杯を混ぜる)
【作り方】
《1》切り干しダイコンは洗って戻し、水気をしっかり絞る。食べやすい長さに切る《2》メープルみそで、〈1〉をあえる。
歯応えがいい。メープルシロップでみそがまろやかに。メープルみそはあえ衣や、焼いた肉や魚のソース、みそ漬けなどにも使える。
(2015年5月13日 読売新聞)
yomiDr. トップページへ