日本人はなぜ考えようとしないのか —福島原発事故と日本文化—

新形信和より その10

この章の初めに長崎に向かうB29爆撃機の話や
ミッドウェー海戦の際の図上演習の話をしました
その際に、なぜ何の対策もとられなかったのかといいますと
半藤一利にしたがえば、「今起きたら困ること」を直視せずに
回避して、やがて「絶対に起きない」という確信に移行してしまうからであり

山本七平によれば、「現実的解決を心理的解決に置き換えようとする」
からということになります

そのことについて、さらに明確な言い方をすれば
「今起きたら困ること」に触発された防衛本能が瞬時に
「絶対起きない」という見立てへと走るからなのです

ずっと昔に聞いた話ですが、ダチョウという動物は危険が迫ると
砂の中に頭を突っ込んで危険から逃れようとするそうです
本当の話かどうかは知りませんが、砂の中に頭を突っ込めば
危険が見えなくなるのは確かでしょう

危険に触発されて瞬時に見立てに走る「見立ての中に逃げ込む」やりかたは
このダチョウの話にそっくりです
このような話をすると、おまえは自虐的だというお叱りの声が聞こえてきそうです

<ヤマアジサイが咲きました>