「原発維持」のため電力会社の責任を軽減?
原子力委員会で審議開始—伴英幸
住民に被害をもたらす原発事故が起きたときに
誰がこれを償うのか?
原子力損害の賠償に関する法律は1961年に制定され
「原子力事業者以外のものは、その損害を賠償する
責めに任じない』と原子炉メーカーを免責している
製造物責任を問えないのが原子力分野なのだ
一方、法律は電力会社が賠償責任を負うことを明記している
しかし、これを見直そうという審議が原子力委員会で始まっている
これまでは電力会社の無限責任を定め
免責事項は「異常に巨大な天災地変又は社会的動乱」としてきた
そして、原子力損害賠償支援機構法
(2011年8月、後に原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に改正)
が成立し、政府は東電が賠償を支払うために必要な
資金の交付などを行っている
これまでに東電が払った賠償額は5兆212億円であるが
未払い分や政府が立て替えている除染費用(2兆5000億円)
事故収束日(2兆2000億円)などを合わせると12兆円に達する
今回の原子力委員会の見直しは大きく2つの方向が考えられる
「無限責任をやめ、上限を決める」または
「賠償の範囲を限定する」である
ロボットなど廃炉研究開発は政府の資金だし
立て替え除染費用に返済義務がないなど
現状は後者での対応だ
結論がどちらになっても電力会社の負担を軽減して
原発を維持するための見直しである
結果、そのつけは私たちにまわってきて負担が増える
それでいいのだろうか?
脱原発へ舵を切ればそうした負担は免れる
<ヒメツルソバが咲いています>