THE BIG ISSUE JAPAN 268より その3

平和へ— 米軍基地のたたみ方 屋良朝博さんに聞く

国土のわずか0.6%の土地に国内にある米軍専用施設の
74%が集中する沖縄県

中でも県内にある米軍基地の75%を占めているのが「海兵隊」だ
しかし第2次世界大戦以降、得意の強襲揚陸作戦を大規模に行う
機会は徐々に減り、今は主に地上戦を専門としています
米軍の中では「第2陸軍」とも呼ばれ過去に何度か解体論も出ています

実はしばしば『抑止力』として語られる沖縄配備の海兵隊だが
実際には沖縄の兵力だけで編成できるのは約2000人のMEUのみ
つまり救出作戦や人道支援しか行えないのが実態だという

ベトナム戦争末期には財政のひっ迫した米国が
沖縄海兵隊の米本国撤退を検討したこともあります
ところが73年7月の日米安全保障条約運用協議会で
日本の防衛庁は「アジアにおける機動戦力の必要性」から
移転を引き留めました

日本側の海兵隊沖縄駐留に固執する態度を見た米国側は
「海兵隊を対日交渉のテコとして利用できる」と考えるようになったことが
最近の歴史研究で明らかになってきました

しかし、そもそも沖縄の7割を占める海兵隊は地上戦闘兵力
艦船や潜水艦と戦うことは想定されていないし
沖縄駐留の海兵隊を運ぶ艦船は長崎・佐世保にある
沖縄は隊員と艦船が落ち合う「待ち合わせ場所」でしかないんです

基地問題の解決策として提案し続けてきたのは
「お金」「運用」「メンツ」を考慮した3つの案です

①日本が出している米軍駐留経費の1部である施設整備費を
 海外の移転先でも使えるようにする

②高速輸送船を日本がチャーターして海兵隊に提供することで
 輸送を手助けする

③MEUの人道支援・災害救援活動に自衛隊も積極的に参加することで
 アジアの安保ネットワークづくりに寄与する

これらをすべて実行したとしても、米軍に日本政府が年間3700億円払っている
今の支出よりはかなり安く抑えられるはずです

元国家安全保障会議アジア担当上級部長のジェフリー・A・ベーダ—氏は
著書「オバマと中国」で「日中両国が岩しかない小島をめぐって武力対立するかも
しれないという考えは馬鹿げている」と述べている

2012年2月に日米で合意した米軍再編計画によれば、
沖縄の海兵隊9000人がグアムなどへ移転。
沖縄には司令部と年中海外遠征している31MEU(海外遠征隊)だけが残る見通しで、基地が「沖縄になければならない理由」はまったくない

本来、基地を作る場所を軍隊の派遣国である米国が決めることはできない
主権侵害になるからだ。受入れ国である日本の国内事情で決まる「国内問題」
であるはずなのに、当の日本国内では議論が全く深まっていない

沖縄は基地がないと立ちゆかない最貧県とおもわれがちですが
2012年度の国庫支出と地方交付税を安房得た額は17位
人口1人あたりで見ると6位ですが、
本土復帰後1度も1位になっていません
観光などのサービス業で沖縄の経済は元気だし言論の自由もある

人道支援や災害救援の分野なら、日本の自衛隊は世界に誇れる能力を
持っているから、アジアの安全保障に十分寄与することができるし
国際社会からの尊敬や米国の信頼だってかうことができる
沖縄をアジア平和の発信地にしてはどうでしょうか

<ミソハギは盆花とも呼ばれます>