不信任が独裁を生むジレンマ 内田節より

英国の国民投票は、中下層の大衆の反乱によって
離脱が決まったと解説されているが、実際には
エリート層とそれに同調する人たちの反乱が
起きているのではないだろうか

だがそれは、かつてのような社会全体の改革を求める
反乱ではない

国のあり方は自分にとって重要ではないという「反乱」が進み
それに同調する人たちの裾野が広げられていく

そういう動きが先進国では一般化してきている

米国の大統領選挙はニュースで見る限り
盛り上がっているようにみえるが、最近の投票率は
大統領選で50%台、国会議員選挙だと40%前後である

だがそうなればなるほど、組織票をもっているところが
選挙で勝ち、「民主的な制度の下での独裁」がすすんでいく

人々の意識の中で国家の価値が低下し
信任する必要性のないものになっても国家は存在し
その政策によって私たちは影響を受ける

人々の意識が離れていくというかたちで起こっている
国家の空洞化が、逆に独裁的な政府を成立させるのである

直視しなければいけないのは、現代世界に広がっている
このジレンマなのではないだろうか

おそらくこの問題の解決は、日常的に関われる世界に
権限を移譲する以外にはないのだろう

地方分権、地域主権を徹底的する道である
とともに、空洞化し、独裁化していく国家と向き合う作法を
わたしたち自身も確立しなければならなくなっている

<アガパンサスがさいていました>