人はなぜ「いじめ」るのか 山折哲雄・柳美里(著) その6

生野照子・山岡昌之・鈴木真理(編)

・「いじめ」る側の子の心の叫びを聞く

「いじめ」というのは1つの心の叫びですよね
「いじめ」る側の子どもの叫びだということを、もう少しみんなが
分かる必要がありますね

「いじめ」は卑劣なことであるとか、「いじめ」を傍観することも
「いじめ」に加担することになるとか、そんなことは子どもたちも
解っているのです。そんな言葉を繰り返していても
「いじめ」を抑止することはできません、

私が小動物を殺すことが止められなかった時のように
許されないことだと頭では解っているけれど、手が止められない
なぜ止められないのかを自分でも解らない
訳が解らない暴力衝動に自分が乗っ取られている状態です

「いじめ」た子を出席停止や退学処分にしたところで問題は解決しません。
その子はこの世の中から消えて無くなるわけではありません
もっと追い詰められ、もっと隅に追いやられ、罰を受けたことを
恨みながら大人になるわけです

だから非行少年がなぜそうしなければならなかったのかという
問題の解決と「いじめ」の問題はの解決は同じだと思うんです

「いじめ」た子に必要なのは非難ではなく理解です
罰ではなく治療なのです
「いじめ」た子も、「いじめ」たことがトラウマになる

つまり「いじめ」問題においては、被害者だけでなく、加害者も
その後の人生の精神的な悪影響を受けることが示されています
だから、「いじめ」られた子だけがカウンセリングが必要だというのでなく
「いじめ」た子も支援しなければいけないのです