カート・コバーン

自信がないのは、あんただけじゃネェ
この世の中のすべてのヒトって生きもんはよ
ずっと迷い続けて
その長くない一生を閉じるんじゃねぇか

だから、カッコいいんだよ
だから人間やってんだよ

なのである。

それは凡人であれ、天才・奇才、スターであれ、
みんな同じだ。
不安や苦悩のスケールは違っても
「悩む」という行為はみんな同じ。

伝説になった人間はたくさんいるが
ジョン、あなたは確かに伝説だ。
銃弾に倒れたからじゃない。
ボクはビートルズには正直興味はないけれど
「陽のあたる教室」という映画に
音楽教師が教え子に言うこんな1シーンがある。

“君は、この曲をどう思う?
彼らの音楽は演奏も、歌もヘタだ、曲のつくりも単純で
コードはたったの3つしか使っていない。

でも、…いい曲だ。”

ということなのである。
だから、伝説なのである。

拝啓、カート・コバーン
ボクにとっては、むしろあなたが伝説だけど
ビレッジバンガードに貼ってあるポスターを見るたびに思う。

あんたは死んじゃいけなかったんだ
堕落するのも、また人生だろう
自分のつくりあげたジャンルが堕ちて行くサマを
見届けるのもいいじゃないか
自分がくすんでいってもいいじゃないか

輝いたまま一生を閉じられたら
誰もあんたを追い越せないじゃないか

コートニー・ラブはあんたが死んだ後も
グランジな人生送ってるじゃないか
デイブも音楽ひっぱってるじゃないか
もう一人の名前はでてこないじゃないか

奥さんや子どもや仲間を不幸にしちゃ、だめだよ。
それだけだと思う。
自分で死んだら、何にものこんないって。
ただ”あなた”がこの世界から欠落しただけなんだよ。

カート、ボクはあんたがただの中年で
ロックスターでなくてもいいから、死なないでほしかった。

ミックはナイトの称号もらったし
マンソンはパリコレを見に行ってる
マイケルだって許された
アクセルローズは何やってるかしらないが
そんなご時世だよ。それでもロックらしいよ。

なにも、死ぬ事なかったんだ。
死んじゃだめなんだよ、それだけ。本当に。