11月12日(土)
「クマたちが棲む豊かな森を次世代へ」〜クマと もりと ひと〜
語り手:日本熊森協会 森山まり子 さん
2016年、今年になってクマが人里に現れ、人間との接触が非常に多くテレビで伝えられている。そんな折、大阪の北部豊能町の山の中のお寺に野生のクマが檻に入れられ飼われているというのをメディアの情報で知った。
能勢町に取材に行った帰り、そのことを思い出しそのクマを見に行こうと豊能町の山中にある光代寺というお寺に行くと、山深い中のお寺に、大きく立派な檻があった。近づいてみると一頭のクマが檻の中を行ったり来たりと疲れることも飽きることもなく速足で歩いていた。野生のクマで、今まで自由に野山を走り回っていた時のことが恋しいのかな?と思った。
檻の前に、このお寺にクマの檻が設置された経緯が書かれていた。能勢の山中のシカ罠にクマが間違ってかかったそうだ。
間違いなので野に放つようにしようとしたところ、大阪府は放獣を認めていないとのこと。法にのっとった受け取りがない場合、駆除するようにとの通達に、日本熊森協会がなんとかこのクマを助けられないかと東奔西走し、罠にかかってから3年目にしてようやく、日が当たり、ある程度の広さにある檻で生き延びることができたと書かれていた。
目の前の無目的に歩き続けるクマを助けた日本熊森協会ってどんな会なんだろう?どんな人たちなんだろう?このクマのいきさつなどをコラボ大学校で話していただこう。
そうして、今日のコラボ大学校で日本熊森協会の森山まり子さんの講演に繋がった。
森山さんの語りが始まると、講座に出席した人たちが思っているような動物愛護団体の生々しい話ではなく、宇宙創生の話、地球誕生から現在に至る地球環境の話、人間として、どう生きていくことが広大な宇宙の中の奇跡の惑星(地球)を後世に人間はもちろん、いろんな動物、植物を残していけるのかという壮大な話から始まった。
熊森協会の名前からクマを護るための団体と思われるが、日本における野生動物界の頂点に位置するクマが生き延びる環境が守れれば、日本の環境、地球の環境が守れるでしょ!という趣旨のお話で、クマは自然界のシンボルとして熊森協会という名を冠したとのこと。
また、この会を作るきっかけとなったのが中学校の先生であった森山さんが、教え子が新聞に載った日本のツキノワグマが絶滅の危機に瀕しているとの新聞記事をテーマに自主勉強の論文を提出したのがきっかけになり、クマが生き延びられる森を造ろうと生徒たちと始めたのが初めで、大阪・北摂のクマ捕獲問題にも関係を持つようになっていたとのこと。
クマと人間が共生できる森を守るために何ができるのか…そこにはいろんな法律の壁があり、役所との折衝では個人レベルや小さな会が申し入れしても門前払いにしか対応してくれない。そんなことで会を大きくして同じ声を持った人がたくさん居るということで役所が動いてくれるようになったとか。
自然を守るために組織を大きくしてきたことを、森のシンボルとしてクマを守るという行動で日本の自然を守っているのだ!というのが強く強く伝わってきた。今日の話を聞いて、なぜクマが人里に出てくるんだろう、人とクマが出会わないようにどうすればいいのか?そんなことを想いながらテレビや新聞のニュースを見ようと思った。
報告:京谷 寛
アンケート
●もっと若い人に集まって頂くような催しにして頂きたいです。30歳代、40歳代の人 がいかに集まるか!ですね(60歳代)
●近頃ニュースを見ていると、クマ出没のニュースがよく見られるようになった。そのこ とが今日この講演に参加しようと思った動機です。クマのみならず、全ての動物の 命を奪っているという現実を理解しないと大変なことになると痛切に感じました。家 に帰ったら、教えていただいたこと伝えたいと思います。本日の継続の学習会を もっていただけるとうれしいです(60歳代女性)
●これからも人間の犠牲になって生命を落としている生物のことをとりあげていただき たい(60歳代女性)
●全く知識のなかったテーマについて具体的でわかりやすい現実のお話を拝聴でき て、貴重な機会でした。ありがとうございました(70歳代)
●とてもためになった(70歳代)
●酸素・水・食物は自然からとる必要がある。循環する生活と自然の提案は、私達が 忘れがちな問題だと思います。クマの水遊びは感激しました(70歳代)
●知らない事が沢山あった事を参加して知り、良かったです(70歳代女性)
●戦時中の童謡だと思いますが「お山のスギの子」というのをきいたことがあります。 杉の生産をすすめられたのは国の政策だったのだと思います。その後も杉を多く植 えたのも分かりました(70歳代)
●自然との共生と言うのは易いが、具体的には自然の林を再生しどんぐりも稔り落葉 樹も混交する森を創生する(70歳代男性)
●人間がおごり高ぶり地球をよごしている。クマを通してがんばる事がよかったです(7 0歳代女性)
●今年は例年にも増してクマの出没が多く、人的被害も発生しています。戦後の乱伐 及び都会への若者の流れによる過疎化の急激な進行による里山の荒廃等々野生 動物にとってもその生存環境が悪くなっている。常々この現象現状には少しばかり 興味をもっていた。森山先生が冒頭に云われた「全生物との共存」は絶対不可欠と 考えるが世流は科学万能との誤った考えが主流を占めている様に見受けられる。 今後とも森山先生には当該活動をもっと広くおこなっていただきたく思います。(70 歳代男性)