日 時 平成29年1月23日(月)13時30分〜15時
松尾芭蕉はしばしば門人に対して「俳諧は老後の楽しみ」と
語っていたそうで、確かに老人福祉施設や市の公民館へ行く
と必ず俳句や川柳のクラブがあります。
また昨今高齢者が俳句を始めたとの話しを耳にすることが
ありますが、芭蕉の言葉である「俳諧は老後の楽しみ」と何か
関係があるのでしょうか。
講師は参考例として芭蕉の「遺状(その三)」を示されました
芭蕉は大阪で亡くなるのですが、この遺状は死の直前に口述したものだそうで、江戸で特に経済面で世話になった弟子の杉風に宛てたもので、「杉風へ申候。久々厚志、〜(中略)〜 弥 俳諧御勉候而、老後の御楽可被成候。」とあり、「大変世話になったのに、この世の別れの挨拶も出来ないが、ますます俳諧に励み、老後の楽しみにされたい。」と言っている由にて、この例の他にも生前よく「俳諧は老後の楽しみ」を口にしていたそうです。
人は定年になると職から解放されて遊ぶことが出来る、遊びが出来るということは自由になれるということで、俳諧においても良い作品を作ってやろうとするとなかなか出来ないが、かえって自由になった時にこそひらめいてすばらしい句が出来るものであるとのこと。
『耳底記』にも、「師しめして曰。翁は、「俳諧を子どもと遊ぶがごとくせよ。」とおしえたまえり。」とある由でした。