4月11日、京都市内のあるデイサービスセンターに、「みんなの認知症予防ゲーム」でお見舞いに行ってきました。認知症専門のデイサービスです。
混合処遇のデイサービスの状況はよく知っているつもりでした。かなり認知症が重度に進行した人も、興奮状態が周囲に恐怖を与えるタイプも、朝、到着してすぐから「帰ります、帰ります」を連発して少しも落ち着かないヒステリックなタイプもあり、怒鳴って他の人たちが逃げ出す場面も経験がありました。
しかし今日は、様子が全く違うことに愕然としました。
今日の施設では、落ち着かなくて、ほとんど泣き叫ぶような様子の1人に、職員さんがつききりでしたが、机の前に座っている他の高齢の利用者さんが言われるには、「ああいう病気なんですよ」と、落ちついた声で、私に説明してくださって、平然としておられ、他の同室者も全然動じないふうでした。
騒ぐ人がうろうろされる中で、いざゲームを始めようとした途端に驚いたことは、指関節を痛められているようでもないのに、指を伸ばす、曲げるが全く出来られないのです。要介護度は3ぐらいかなと当てずっぽうに推測していたのですが、1から10まで指を折って数えるゲームが出来そうにありません。でんでん虫の形もできません。チョキの形ができません。
そこで慌てたり、オタオタしない自分にも、内心驚きました。何が出来るかなと考えて、グーとパーならば出来ると発見して嬉しくなりました。
グーとパーさえ出来たら大丈夫。こちらの奥の手は加速ですから。
ゆっくりから始めて、少しずつ速度をあげて「兎と亀」を歌い出しますと、なんと皆さん、
はっきりした発声で唱和してくださいました。こうくればシメタもの、大丈夫です。
グーとパーばかりで、でんでん虫の歌もみんなで歌い、どんぐりコロコロもグーとパーで、チューリップの歌もグーとパーです。一つずつ自然に暫時の休憩を入れて、疲れないように配慮しました。変化を入れて2拍子は、机を叩く方法にしました。初日の今日は成功です。なぜなら同席してくださった職員さんが、「楽しそうでしたね」と評価して下さったからです。皆さんホントに柔和な表情で、楽しんでおられました。
楽しくなる理由は何でしょう。リズムに乗ることなのです。
時間は10分間だけでもと思って始めたのですが、始めてみたら20分は優に越えていました。20分の脳のリハビリ訓練は成功でした。積み重ねが効果をきっと証明してくれます。
グーとパーだけの最小限のルールでもリーダーの動きに合わせる、と言う協調性の取り戻しは社会性の回復に繋がります。
私の特技は、その場に適合するリズム感を提供することです。とも角楽しんでくださった事が嬉しくて、この前世からの遺伝子を駆使して、将来という次回が楽しみで、明るい気持ちの帰途となりました。