日 時 平成29年5月15日(月)13時30分〜15時
「おくの細道」等の作者・松尾芭蕉は、1644年に伊賀の
国に生まれ、長じて18才の時に藤堂家に出仕して俳諧を
たしなむようになります。
29才の時に俳諧宗匠を志し、江戸に下向いたします。
その後、37才で隠者の境涯に身を置き、44才の時に
江戸を立って「笈の小文」「更科紀行」の旅に出ます。
隠者に身を置くことになった理由は、①俳諧宗匠として
の生活、②当時の遊びとしての俳諧に疑問を持ち、③荘子の思想への共鳴等々によります。
そして46才になって、「おくの細道」の旅に出ます。
「月日は百代の過客にして行きかふ年も又旅人也・・・」の書き出しで有名なこの「おくの細道」は、芭蕉が松島や象潟の自然に造化の秘密を探り、悠久なる姿を保つ中尊寺の光堂に感動して「不易流行」の思想を体得した旅の紀行でもありました。
また、芭蕉の有名な「ふる池や 蛙飛び込 水のおと」の句ですが、ちょっと見には風景をそのまま詠んだもので、特にどうってことはありません。
なのに、どうしてこれが名句なのでしょうか。
これは、伝統的な和歌の優美な世界では、蛙は清流に配し「鳴く蛙」が定着していましたが、芭蕉は蛙をふる池に配し「飛ぶ蛙の音」ととらえたところでしょう。