日 時 平成29年6月8日(木)14時〜15時30分
関西文化を育んだ作家のひとりとして、石川達三が紹介され
ました。
彼は元々秋田県生まれですので、一見関西には縁もゆかり
もない人物のようですが、1935年に芥川賞を受賞した作品が
ブラジル移民をモチーフにした「蒼氓」であり、ブラジル移民出
発地が今年150周年を迎える神戸港であることから、今回
取り上げられたものです。(写真は、移民センター)
まずどうして日本に「移民」が生まれたのでしょうか。
それは、「人口が増加し」⇒「まだ完全に工業化する前なので多くの人を抱えることが出来ない」⇒「やがて餓死者が出る模様」⇒「政府は移民政策に踏み切る」・・・の経過です。
当初の行先はハワイでしたが、やがてブラジルへと変化していきます。
なお「移民」の条件ですが、「勤勉に農業に従事している者かまたは多年農業の経験のある者で、なるべく多人数の家族(労働力確保)」ということでした。
「蒼氓」は三部構成で、第一部は神戸港を出発するまで、第二部は神戸からブラジルまでの船中のこと、そして第三部はブラジルで農業に踏み出す様子で、この内第一部が芥川賞を受賞いたしました。
内容は弟が移民を決断したことにより、同行することになった姉がヒロインであり、求婚されるも結局ブラジル行きの方を選択するという人を中心とした物語となっており、実際にモデルも存在した由でした。