日 時 平成24年3月16日(金)
場 所 芦屋公民館
講 師 鈴木 紀氏(民族学博物館准教授)
チョコレートの原料であるカカオの原産地は、ラテンアメリカ
とも中南米とも言われています。
このラテンアメリカとは、南北アメリカやカリブ海地域でスペ
イン語・ポルトガル語・フランス語等を話す人々が多く居住する
地域を意味します。
先スペイン時代(スペイン人が来る前の時代)のカカオは、人々にとって食べ物ではなく飲み物であって、現在でもメキシコや中央アメリカでは、これを飲む習慣があるのだそうです。
16世紀になりますとカカオはコロンブス達によってヨーロッパにわたり、愛好されるようになります。
ヨーロッパでは様々な製造方法の技術革新が進み、「ココアの誕生」「チョコレートの発明」「ミルクチョコレートの製造」「なめらかチョコレートの実現」等々が行われ、貴重品から大衆商品へと変貌していきました。
今ではチョコレートは製造供給側の名ばかりが有名になり、生産者の影が薄いのが残念です。
またカカオは現地では当初、貨幣としても機能していたようで、昔の資料に「七面鳥:100カカオ」とか「アボガド:3カカオ」等の記録も存在しているとのことでした。
ラテンアメリカの文化史を通じてのカカオ(チョコレート)の意味を考えますと、「権力」「富」「貧困」「連帯」など、多様なメッセージを読み取ることが出来そうです。