日 時 平成30年1月26日(金)13時30分〜15時
表題の作品とは2016年に芥川賞を受賞した村田沙耶香の
「コンビニ人間」のことです。
主人公の古倉恵子は36歳の独身で恋愛経験もないまま
コンビニの店員をしています。
彼女は子供の頃から他の人と考え方や価値観が異なり、たと
えば幼稚園の頃、公園で小鳥が死んでいた時、他の子供達は
お墓を作ってあげようと相談していましたが、彼女は父親が焼き
鳥が好きだから、これを持ち帰って焼いて食べようと言い、みんなは奇異に感じます。
他の人が常識と思っていることが彼女には非常識なことで、その差がわからないまま育ちます。
大学生になってコンビニでアルバイトすることになり、出社しますと他にもフリーターや主婦等も来ていて、トレーナーからマニュアルを渡され、制服も支給されます。
そして全員がコンビニの店員としての教育を受けるわけですが、ここではマニュアルに沿ったものですから、言葉使いも、接客方法も同一で、今まで彼女が奇異と見られていたことがなくなります。
すなわち今までバラバラであった人が均一になるので彼女だけ変に思われることがなくなり、つい大学を卒業した後もコンビニに残り、気がつけば19年も働いていました。
彼女は、コンビニの外では異質に思われるので一生「コンビニ人間」になることを決意します。
この小説は、自分の生き方と世間の常識を並べて新しい価値観を創造していると言えそうです。