・「お願いします。教えてください」
「・・・・何、聞きたいのさ?」
「友次さん、どうして負けなかったんですか?
どうして死のうと思わなかったんですか?
どうしてヤケクソにならなかったんですか?
どうして参謀長と戦えたんですか?
どうしてそんなに強いんですか?」
「強くなんかないさ。
『人間は容易なことで死ぬもんじゃないぞ』って何度も親父からいわれたんですよね」
「それでも、友次さんは、どうして生きることができたんでしょう」
「寿命っしょ。寿命に結びつけるほかないさ。逃げるわけにいかないべ」
「寿命だから、最後まで気力を失わなかったんですか?」
「寿命を決めるのは仏様。寿命がある間は逃げるわけにいかないっしょ。
自分で寿命を終わらせたらだめだべさ。
寿命は自分で決めるもんじゃないっしょ」
想像もしない答えだった。こんな考え方をしたことも聞いたこともなかった。
何も言えなかった。ただ「寿命」という言葉が体の中を駆けめぐっていた。
気持ちが溢れて渦を巻いた。
「寿命」という言葉が、ずっと頭の中をぐるぐるしていた。
友次さんは「寿命は自分で決めるもんじゃない」と言った。
でも、ぼくは自分の寿命を自分で決めようとしている。
そう思うと、歩きながら涙がこぼれそうになる。