行動経済学と老前整理 ⑬
今日も大阪は降ったりやんだり。少し気温が下がって、エアコンをつけずに過ごしています。
今日は行動経済学と老前整理の第13回です。
行動経済学のキーパーソンの一人、リチャード・セイラ—は行動経済学の原則を3つ紹介しています。
1、観察すること
2、データを集める
3、主張する
はじめの観察は、日々しているつもりですが、何を見るか、どこを見るか、どのようにみるか、でしょうか。
ピントが合ってないと、観察にはなりませんし、あさっての方向を見ていてもお話にならない。
次のデータを集めるは、今まで集めてきたデータを生かすこと。そしてこれから新たなデータを集めることでしょうか。
主張するは、データを集めた結果ですね。それはこれからですが日々、進みつつあります。
老前整理の通信講座を初めてとして、以前からかなりのデータを集めています。
ものが増える原因について、いつも講演会で質問して、手を挙げていただきますが、昨年はアンケートの形で記入をお願いしました。
(この質問は『老前整理実践ノート』(2011年徳間書店)など拙著にも掲載しています)
■当てはまると思う項目にすべてチェックを入れてください。(『老前整理の極意』より一部抜粋)
□おまけに弱い
□安いとつい買ってしまう
□なんでも多めに買っておく
□紙袋はすべて取っておく
□必要かどうかより、欲しいから買う
□もらえるものは何でももらう
「はい」はいくつありましたか。
昨年の会場の結果です。
「おまけに弱い」と「紙袋はすべて取っておく」、「必要かどうかより欲しいので買う」が約50%。
一番多いのは「安いとつい買ってしまう」が一番多く77%、「何でも多めに買っておく」が約40%、「もらえるものは何でももらう」が35%でした。
□おまけに弱いは、「無料の勝利」第9回 8月26日と同様、無料に弱いことはお分かりでしょう。
□安いとつい買ってしまう。
さてこの「安い」ですが、行動経済学では専門用語で「アンカリング効果」と呼ばれているものです。
船が錨(いかり=アンカー)をおろすと錨と船を結ぶとも綱の範囲でしか動けなくなること、つまり、意思決定を行う際の基準を指します。
つまり最初に印象に残った数字やことばが、後の判断に大きな影響を及ぼす傾向にあることがわかっています。
例を挙げれば、店頭でコートを見て、5万円の正札に3万円の赤字のシールが貼ってあれば、これは「安い」から「お買い得」だと衝動的に思ってしまったことはありませんか。
また「先着5名」や「本日限り」とか「残りあと3つ」など、アンカーが使われているのです。本当にそれが必要だからではなく、「残り3つ」だから、バーゲンセールが終わるころにはすべて売れてしまい、二度とその値段で買えなくなるという気にさせられ、買ってしまうのです。
□なんでも多めに買っておくは「メンタルアカウンティング」
□紙袋はすべて取っておくは「損失回避性」
□必要かどうかより欲しいから買うは「注意の焦点化効果」
□もらえるものは何でももらうは.「無料に弱い」と「損失回避性」が当てはまります。
以上のように、2011年から実施してきたアンケートの「ものが増える原因」はすべて行動経済学で説明できることがわかりました。
このことに気が付いたとき、びっくりしました。そして老前整理の鉄則も説明できるので次回に紹介します。
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