京都府南部の高齢者施設主催の認知症予防教室は2007年から2月2回、3月2回の4回シリーズを2019年まで連綿と継続されてきました。去る3月12日には、今年度の3回目になる教室に伺ってきました。
この日の印象は例のない格別な展開となったので報告します。

下記のような言葉が思い出されるこの日の教室でした。
◆市民の、市民による 市民の為の認知症予防(リンカーン曰く「人民の人民による人民のための政治」)
◆歴史家は後ろを向いた予言者である(古代史専攻関西大学文学部教授故横田健一先生)

教室は20種類のゲームを四回に分けて、毎回実施する種目と、交代で行う種目を考えて1時間半の予定ですが、この日は参加人数が例に無く多く、特に初参加の方が多かったので、準備していた話の内容や予定のゲームなどをやめて、その場で即興的に初参加の方たち向けに、次のようなお話をしました。
◆認知症の意味(脳の一部が少しずつ正常性を失って行く病気。生あるものは必ず死ぬ=死は皆が受容している。死の直前に意識が混濁する、そして混濁時間は個人差がある。10年、あるいはそれ以上要するのが認知症と思えば忌避することはない。改善が出来ると知れば努力も出来る)
◆認知症予防の意味(一次予防から三次予防まで全てを同時に対象とする共生の予防教室)
◆認知症予防ゲームによる効果の実例(教室参加者の改善・変化の実例)
◆認知症混在社会の今後有るべき理想像(共生社会の構築)
を理解して頂きたいという思いで話し始めて、「認知症にだけはなりたくない」という大多数の忌避的願いを持つ方たちの観念を一段高めていただきたく、
◆だれでもなりたくないと思いながら認知症になるのだから、無策ではダメ
◆発症する前から行動すべき手段は、市民個人で可能な自己責任範囲で行える簡単なこと
◆施設や公共の集会所に常設されている血圧計設置サービスを活用するような感覚で、市役所等に設置されてあるタッチパネル診断の脳機能テストの結果表を、自分で保管しておき、年々の状態を比較する
◆なりかけ=発症が疑われる時に取るべき責務は早期受診に自ら行動を起こすこと
◆水頭症のように手術で完治する認知症もある(故金子満雄Dr)

以上のような具体的な方法をお伝えして、従来とは違って格段の手応えがあり、耳に留めて持ち帰られたと確信出来ました。
 このような咄嗟の、準備無しの略式講演、単なる一市民の話ですから準備無しで出来る・・・しかし母を昭和58年に見送って以後、クリスティーン・ブライデン女史の講演や、「このようなゲームで認知症は良くならない」と、吐き捨てるように言われたMDr(故人)の叱責など、後半人生35年の私の中での蓄積が一気に噴き出た話であったと、深い感慨に耽った帰途でした。