文豪の五七五七七

日 時 2019年8月23日(金)10時〜11時30分
 文豪として名高い谷崎潤一郎が詠んだ和歌の数々が芦屋の
谷崎潤一郎記念館で特集展示されていることに鑑み、その鑑賞
ポイントや歌人としての谷崎像を探る講演がありました。
 彼は、1886年(明治19年)に東京日本橋に生まれた生粋の
江戸っ子です。
 文壇へのデビューは、1911年(明治44年)に書かれた物語風
の「刺青」でした。
 そして1923年(大正12年)に起こった関東大震災により関西に移住し、その後40〜60才位の間を阪神間で過ごすことになります。(この間13回転宅している) 
 その間に代表作の数々(「痴人の愛」「春琴抄」「細雪」等々)を発表いたしました。
 さて、本職(小説)ではない今回の本論・和歌ですが、彼は和歌について「希望を差し上げるためのもので、小便をたれるように詠めばよい」と言っていたとか。
 そのいくつかをご紹介いただきましたが、それは・・・・・
「くたびれて 君がぬいだる 白足袋の ほこりも花も 名残也けり」(遊びける頃に)
「名もしらぬ 草木はあれど 紫の ゆかりばかりに 花咲きにけり」(源氏物語訳直後に)
「故里の 花にこころを 残しつつ たつやかすみの 兎原住吉」(疎開時に)
「茅渟の海の 鯛を思わず 伊豆の海に とれたる鰹 めしませ吾妹」(棟方志功と合作)等でした。