日 時 2019年10月10日(木)14時〜15時30分
今回の関西文化に育まれた文学では、宮沢賢治の「銀河鉄道
の夜」が取り上げられました。
宮沢賢治といえば岩手県花巻出身で、関西には縁がないと思
われがちですが、この童話を21世紀初めにミュージカル化した
のが宝塚歌劇でした。
そのパンフレットには「数々の詩情あふれる童話や詩を遺した
作家・宮沢賢治の作品の中から最高傑作を取り上げ、その純粋
と繊細な世界に賢治自身のヒストリーを重ね合わせて舞台化したファンタジー・・・」と記されています。
この童話は「現実〜夢〜現実」の構成で、主人公・ジョバンニが夢で見る死後に乗る鉄道の話しです。
ジョバンニと一緒に乗っているのが親友のカムパネルラで、彼はいじめっ子・ザネリが川で溺れているのを助けに行き、ザネリは助かるが自分は犠牲になってしまったものです。
その他鳥捕りや豪華客船が氷山にぶつかって沈んだ時の犠牲者・家庭教師と子供達も乗ってきます。
銀河鉄道は誰でも乗れますが、降りる所は人によってマチマチのようです。
さて、この童話は賢治の最愛の妹(トシ)が亡くなった頃から書き始めたようで、推敲に推敲を重ね、実に4稿まである由です。
カムパネルラが自分を犠牲にしてまで友人を助けたこと等を通して、賢治は「私とあなたは別々ではなく、すべての物がつながっている。」という考えなのでしょうとのことでした。