美しさを求めて生きた男

日 時 2019年12月12日(木)14時〜15時30分
 今回の関西文化に育まれた文学は、司馬遼太郎の「燃えよ剣」
が取り上げられました。
 この小説は新選組副長・土方歳三の生涯を描いたもので、松竹
が1986年に映画化し、1997年には宝塚歌劇でも舞台化され
ました。
 新選組は1863年に江戸で集められ、京都に移動した浪士組
から、芹沢鴨一派と近藤勇一派が手を組んで独立し、京都守護職
会津藩主の庇護のもと発足された組織です。
 任務は、倒幕武士の探索・捕縛や警備・反乱の鎮圧でした。
 また主な戦歴は、池田屋事件・尊王攘夷派志士の斬殺・捕縛、蛤御門の変・・・等々で戊辰戦争の終戦とともに解散されています。
 この小説の最後には、「五稜郭は降伏し、開城した。総裁・副総裁・陸海軍奉行など8人の閣僚のなかで戦死したのは、歳三ただひとりであった。8人の閣僚のうち、4人まではのち赦免されて新政府に仕えている。」とあり、この時歳三は函館政府の陸軍奉行でした。
 歳三は、「攘夷も開国もない。事がここまできた以上、最後まで徳川幕府を守る覚悟になっている。時勢など問題ではない。勝敗も論外である。男は自分が考えている美しさのために殉じるべきだ。」と言い、また「もしここで自分が生き残れば地下の近藤にあわせる顔がない。」として、生涯を閉じました。