日 時 2020年8月12日(水)10時〜11時30分
関西ゆかりの作家として、大阪南部に存在しましたいわゆる
帝塚山派の文学者の中から、同派の精神的支柱をなした藤澤
桓夫についてご紹介いただきました。
彼は1904年(明治37年)に大坂・備後町に誕生いたしました。
1933年から帝塚山に住み始め、本格的に小説を書くようにな
り、そしてまもなく新聞連載(「街の灯」「花粉」「新雪」)が相次ぎ
ました。
また結婚は遅くて、1955年・50才のときでした。
彼は同人誌「文学雑誌」を創刊して、大阪の若き書き手(織田作之助、庄野潤三、田辺聖子等々)に場を与えたり、同じく同人誌「近代説話」により作家達(石浜恒夫、司馬遼太郎、黒岩重吾等々)を支援するなど、いろいろ文学界に尽力しています。
彼は大坂のサラブレッドとも言われ、実家等の財力や知力を帝塚山に結集して、大阪文壇サロンに帝塚山文化圏の基盤も作りました。
彼は無冠の帝王で、文学碑もない由ですが、その小説は「都市的感覚にみちた日本で最初の小説として世間を魅了した。」(司馬遼太郎評)のだそうです。
因みに代表作「新雪」は、主人公の小学校教諭・良太に2人の美女(保子:知的で慎ましやか、千代:パワーあふれる職業婦人)がからむ、関西を舞台とした都市文学です。