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きょうだいと言っても、性格や考え方が違います。またどこに住んでいるか、仕事や収入によっても違うでしょう。
いざ親の介護という時に、誰が中心になって介護をするかです。実際問題として近くに住んでいる者、時間の余裕がある者になります。そこでとりあえずよろしくと、他のきょうだいは安心します。
これが1週間や10日ならまだしも半年、1年と続くとどうでしょう。親の近くに住んでいる妹が兄2人にどうしてわたしばかりが介護をしなければいけないの、私にも家族がいるのよと憤るかもしれません。
これは介護の分担の話し合いをほとんどしていないからです。だれがどのように介護をするか、できないものはその分どのような負担をするかです。具体的には遠方で介護ができないなら金銭的な補てんをするとか、普段はできないけれど5月の大型連休や正月休みには代わって介護をするとか、お互いにできることをしようと話し合うことです。介護は長男や長女がするものという考え方に縛られることはないと思います。
相談したくても話し合いに加わらないきょうだいもいます。仕事が忙しくて時間がない、自分の家族のことで手が一杯、夫の両親を介護しているなどです。
他には感情的な理由もあります。たとえば父親とはそりが合わず、かわいがってもらった記憶もないので介護をする気はないという息子。母親はできのいい兄ばかりをかわいがり、自分のことはいつも余計者扱いだったので関係ないという娘。
実際、海外赴任していたり、失踪して連絡が取れなくなっていたり。きょうだいが集まって話をすること自体難しいことがあるかもしれません。
介護をしている者は、自分の親だからいやいやしているのではなくても、他のきょうだいは何もしない、「いつもありがとう」という感謝の言葉もない。これでは不公平だ、やってられないと思うかもしれません。
お金でももめないためには、介護保険の利用料や入院費など、親にかかる費用は親に自分で払ってもらうことです。また買い物などの出費は領収書をもらい精算します。これは後々トラブルが起きないようにノートを作り領収書を貼り、他のきょうだいにもわかるようにしておきます。そうでないとトイレットペーパーや洗剤を勝ったりして建て替えたお金も重なればバカになりません。他人行儀に感じるかもしれませんが、お金に関しては慣れ合いですまして後でもめるより、はじめから割り切って支払いを明確にしておいた方が後々のためでしょう。
親の面倒を子どもが見ないのかという声もあるでしょうが、子どもも家のローンや自分の子どもの学費で家計が楽ではないのです。親に全く蓄えがないなら、それはまた相談しなければなりませんが、そうでなければ親の費用は親に負担してもらうと考えればよいと思います。
そして子どもたちも自分が介護を受けるようになれば、自分で費用を払うつもりでいることです。
他にもめた例としては、主として介護をしている次女が在宅介護はもう無理だから施設入所をと希望しても、兄や姉が「そんなひどいこと」とか「親がかわいそうだ」と反対する場合です。このような時は、介護をしている者の意見を優先してもらいたいものです。なぜなら実情をわかっているからです。口だけ出すが介護をしないきょうだいには、「それほど言うなら、介護を代わってください」と言ってみればどうでしょう。これもきっともめますね。
つまり色々な意見をまとめるのはかなり難しいので、介護の基本はだれが決めるか、できれば親も一緒に相談して決めておくことです。そうでないと、反対ばかりされたり、意見がまとまらず、手続きができないとか、適切な治療が受けられないことになりかねません。
介護の問題はいずれ相続問題にもつながります。
介護をしたからと言って法的な相続分が増えるわけではありません。また何もしないきょうだいが遺産相続の話になると現れることもあります。
きょうだいだから言わなくてもわかるだろうというのは誤りです。もめないためには、話し合い、具体的なことを決めておく、問題が起こったら相談するなどのルール作りをしておいてください。
『老いた親とは離れなさい』2014年 朝日新聞出版 より
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